フォト&クラフト工房Gorou's (写真、カメラ、万年筆、腕時計、etc.)

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古い時計の夜光塗料放射線

2018-05-04 10:00:00 | 腕時計

古い時計の夜光塗料から出る放射線

 1900年代初頭、放射性物質ラジウムを使った夜光塗料が発明されました。当時、アメリカの時計工場でこの夜光塗料を使った女工の唇や口腔に、癌が多発して問題になりました。塗料の付いた筆を口でなめていたためです。
 その後、放射線の出ない蓄光製の夜光塗料が発明されたので、最近の夜光塗料は安全なはず?なのですが、古い時計には今でも放射線を出しているものがあります。ただしラジウムはその放射線の半減期から、今残っている古い塗料は、現在では放射線量はかなり減ってはいるのではないか・・・?

 そんなわけでハッと気が付いて、夜光塗料が使われている古い腕時計の放射線量を、計ってみました。古い時計、けっこう所有しているので・・・

 

 取りあえず夜光塗料が使われている、前回アップした腕時計と安物の目覚まし時計(中国製)を測定してみることにしました。時計の修理の会に参加されている高校物理の先生が作ってくれた、簡易の放射線量測定器です。センサー検知管の精度はあまり良くないとの事ですが、一応何となく測定できています。


 中央の赤いボタンが電源スイッチで、放射線を感知すると右のLEDランプが点滅します。液晶表示は、C(カウント)/min、トータルカウント、μ(マイクロ)Sv(シーベルト)/hです。
 写真の表示は、時計から少し離した自然状態の値です。0.04~0.05μSv/h位の値を表示しています。

 

 取りあえず腕時計の上に置いてみました。オ~ッ、カウントが急に上がりました。自然状態の4~5倍程になっています。目覚まし時計は現代のものなので放射線は出ていないはず?なのですが・・・ですが、腕時計よりはやや低い値を示していますが、放射線は出ている!ようです。中国では、使用規制が無いのでしょうか・・・
 放射線量は距離の二乗に半比例して低くなるし、当然この程度の線量では体に全く影響はないのですが。けっこうまだ残っているんだ、放射能。特に中国製は怖いですね、食品にしても何にしても。
 私の身の回りで他の放射線発生源としては、古いカメラレンズに放射線発生材が使われているものがあります。コニカC35の初期のものやアサヒペンタックスのタクマーレンズなどです。いずれも線量は少ないので身体に影響することはないのですが・・・

 ちょっと思いついて、古い時計の放射能測定してみました。

-追伸-
 ラジウムの半減期(放射線量が半分になる期間)が気になって調べてみました。ラジウムは元々ウランが長い間放射線を出し続けて崩壊して出来る物質で、その放射線量が半分になるには1622年かかります。かなり長かったですね。
 放射性崩壊量は指数関数的に減少します。この腕時計の夜光塗料が使われた時を1930年とし、ラジウムの半減期1622年で現在2018年、88年経った放射線量減少割合を計算すると、

 放射線量減少割合 = (1/2)の(88/1622)べき乗 = 0.963

となりました。なので、1930年初頭に使われた夜光塗料の放射線量割合は、その当時に比べて”0.963”となり、3.7%しか減っていない。当時とほとんど変わっていないということですね。
 塗料自体は経年変化で劣化し発光量は落ちてくるのですが、発光のエネルギー源となっている放射線量はほとんど変わらないということです。

 アメリカでの夜光塗料によるラジウム放射線事故は、夜光塗料を塗るため筆先をなめて唾液で湿して使っていたため、塗料が唇や口腔内、唾液に混じって体内に取り込まれて蓄積されて、内部被曝を起こした結果です。線量が小さくても、恒常的に被曝されていると癌の発生を招くということです。
 たかが夜光塗料といえども、こんな歴史があるのですね。ちなみに現在使われている蓄光性の放射線を出さない夜光塗料は、日本人の発明で画期的なものだそうです。

-追伸-
 ラジウムから発生する放射線はα線なので、皮膚表面で遮断され紙一枚で防げるので、人体へに影響はまったくないそうです。(環境省)
 アメリカの事故は、口から撮り込まれて内部被曝を起こしたことが原因でした。

 

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コメント (2)
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