今思うと私は、病気をしてよかったとさえ考えている。
病気をしたおかげで小説家として人生のあるものに触れたからである。
「遠藤周作氏・ほんとうの私を求めて・病気で人生を豊かにより」
大阪水曜ほっと集談会一世です。
カトリックの純文学作家として有名な遠藤周作氏は、別名狐狸庵という雅号でも知られていました。
狐狸庵先生のエッセイが好きで、若い頃は随分読ませていただきました。
生前一度だけ講演会でお会いしたことが有ります。
純文学作家と狐狸庵という2つのチャンネルをもつ生き方にとても共感していました。
その狐狸庵先生が、50代半ばでがんの疑いがあり検査を受け組織検査の結果がんではなかったことを告白されています。
私も、今年の夏、検査入院をしたのですが、その時は本当に様々な事を考え実によく本も読み、ふだんは不勉強でありますが森田先生の本もよく読みました。
徒然草第117段に友とするにわろきひとして、病なく身強き人とありますが同感です。
私は、心身の病を経験したことで、少しだけ自他ともに優しくなれたような気がします。
気がするだけかもしれませんが。(笑)
最後に河野基樹先生(元発見会顧問/医師)のお言葉をお伝えしたいと思います。
世の中は、情と理が調和して成り立っているのですね。
ただ人は、情けあれ、ではありませんが、情、感謝といったものが兼ねそなわれば、神経質者の良さがますます発揮できるのではなかろうかと考えます。
河野先生もまたwith病の人生をおくられた方でした。
2020・12・3 一世