Dr. 鼻メガネの 「健康で行こう!」

ダンディー爺さんを目指して 日々を生き抜く
ダンジーブログ

触れるしこり

2008-11-25 | 想い・雑感
進行胃癌の場合
鳩尾のところにしこりを触れることがある
胃癌自体のこともあれば
転移したリンパ節
腹膜播種のしこり
肝臓に転移したしこり
などのこともある

こういう場合に抗がん剤治療をするときに
腫瘍マーカーなどの血液データより
しこりがやわらかくなっていくことで
効果が上がっていることがわかることがある

しこりは患者さん自身も触れればわかるわけで
その変化に喜んだり うなだれたりということになる

癌であっても聞きたくないというTさん
でもしっかりとお腹のしこりは触れる
Tさん : 「この硬いのあってもいいんですかね?」
私  :  「うーん。今それを良くしようと薬を使っているのですけどね。」
Tさん :「そうですか。効いてますか?」
私  :「治療の指標となるマーカーはやや改善傾向ですね。でももう少し様子を見ないと判断できないですね。」
Tさん :「そうですか。」

こんな会話をしていても
癌であることを伝えてないことになるのでしょうか
私としてはなんとなく居心地が悪いのですが
Tさんは抗がん剤の点滴を開始し
いつもと変わらず診察室を後にしました