旅に病んで・・・

芭蕉に限らず
旅の空で体調を崩せば
心細いものである

歯が痛くなる
熱が出る
吐き気がする
お腹が痛くなる
胸が痛くなる
腹をこわした…

一人住まいの人も
急に調子が悪くなったりすると
不安を拭い去れない
特にご高齢の方ならなおさらだろう

ただ
人生を旅と考えるならば
いずれは皆が旅の空で病むことになる
その時夢が枯野を駆け巡るのと眺めているばかりではさみしい
やはり今をしっかり生きなければとの想いが
強くなる

そして病に伏した時
特に死を思わざるを得なくなったとき
振り返る豊かな思い出を脳裏に描きたい

と思う

寒風

季節変われど
同じ強さの風ならば
奏でる音も同じだろうに
風が何を震わせているのか
冬の深夜にその音を聞けば
妙に寒々しく感じる

葉を落とした梢が震える音は
確かに違うだろうが
他の音は
それほど変わらぬはず
なのにやはり寒く響く
冷えた体を感じているという
聞く側の要因が大きいのかも知れない

病室で
痛み 発熱 気分不良等々を感じている時には
また違った音色を
響かせるのだろうか
寂しい音
寒気のする音
恐ろしい音…