病院の建物の間の、中庭とは呼べぬ程度の隙間に喫煙所がある。当初は簡易の壁に囲まれていたが、その壁は取り除かれ、屋根と低い囲いのある2~3坪の空間である。タバコ中毒の人は、入院したからと言って俄かに禁煙することもできないようで、いつも誰かが煙を出している。自然便利なように、何処からか椅子が運び込まれ、いろいろなものが灰皿と化し、喫煙者のリラックススペースとなっている。
先日廊下のガラス越しにそこを見ると、そこに猫の姿があった。病院内で見かける猫のほとんどは、非常に警戒心が強いものだが、そこにいる猫たちは何かを恐れる様子が無い。タバコをくゆらす人の側に寄り甘えている。猫のリラックススペースにもなっている。
互いに慰め、慰められている、というところだろう。病院では野良猫への餌やりはダメだということになっているが、ここは治外法権といった感がある。
仕事合間の昼下がり、その様子に私も慰められ、ホッとした。