朝病棟を回っていると、「お久しぶりです。」と声をかけられた。見覚えのある患者さんが病床におられる。7~8年前、肺転移を伴う進行大腸癌の手術の際、私も関わった方だ。主治医に聞くと、足に力が入らなくなり、緊急入院となったとのこと。
脊椎へ転移した癌によって精髄が圧迫され、下半身の麻痺が出現してきているのだ。ベッド上でごくわずか足が動くか動かないかという状態で、完全麻痺に近い。整形外科の判断で緊急手術となった。術翌日には、まだ改善の兆しはなさそうだ。
癌がある上に、阪神麻痺という状態になれば、もう動き回ることは難しい。
2年ほど前に、効き目がなくなってきた抗癌剤を他のものに変更しようとしたとき、金銭的問題で受診しなくなっていたようだ。国民皆保険で自己負担なし、の時代であれば、ひょっとすれば今回の事態は避けられたかもしれないし、少なくとも先延ばしはできたであろうと思う。金の切れ目が治療の切れ目。米国の圧力で、医療分野に今以上の銭勘定が入ってくれば、さらに厳しいことになるのでしょうね。
以前は、医は仁術だろうと多くの人が医療に対して使っていた言葉も今や死語。一般の人も、医療経済という言葉に何の違和感も感じなくなってしまっている。医師も経済を考えずに治療するなんて赦されない。だけど、がん治療の基本のひとつである抗癌剤治療くらい、すべての人にきちっと施行できるようにならないかなぁ。
脊椎へ転移した癌によって精髄が圧迫され、下半身の麻痺が出現してきているのだ。ベッド上でごくわずか足が動くか動かないかという状態で、完全麻痺に近い。整形外科の判断で緊急手術となった。術翌日には、まだ改善の兆しはなさそうだ。
癌がある上に、阪神麻痺という状態になれば、もう動き回ることは難しい。
2年ほど前に、効き目がなくなってきた抗癌剤を他のものに変更しようとしたとき、金銭的問題で受診しなくなっていたようだ。国民皆保険で自己負担なし、の時代であれば、ひょっとすれば今回の事態は避けられたかもしれないし、少なくとも先延ばしはできたであろうと思う。金の切れ目が治療の切れ目。米国の圧力で、医療分野に今以上の銭勘定が入ってくれば、さらに厳しいことになるのでしょうね。
以前は、医は仁術だろうと多くの人が医療に対して使っていた言葉も今や死語。一般の人も、医療経済という言葉に何の違和感も感じなくなってしまっている。医師も経済を考えずに治療するなんて赦されない。だけど、がん治療の基本のひとつである抗癌剤治療くらい、すべての人にきちっと施行できるようにならないかなぁ。