音楽グループにしろ会社にしろ、組織が大きくなれば勢いが出てくると同時に、まとまりを維持するのが難しくなる。胃癌も、大きくなるにつれ勢いが増すと同時に、一所に収まらずよそに分派を作るようになる。転移を起こすわけである。●転移を起こす際には、大元の組織(原発巣)を離れるわけだが、(イ)離れた後血液の流れに乗ってよその臓器へと陣地を広げていくのが血行性転移、(ロ)リンパ液の流れに乗ってリンパ節という関所を占拠していくのがリンパ節転移、(ハ)胃の壁の外に癌が顔を出し、そこから直接腹膜へと散っていくのが播種性転移である。●転移を起こすと、がん細胞を体から完全に排除し、根治に持ち込むのが困難になってくる。だからこそ癌が小さいうち、転移を起こしていないうち、早期のうちに見つけるのが得策。そのためにはやはり検診が必要。全く胃の内視鏡を受けたことが無い人は是非一度受けて欲しい。●「癌になったらなったときのこと」とのん気に言えるのは、まだ癌と診断されていないからですよ。なんの症状もない人に、すでに癌があるなんてことはちっとも珍しいことではありません。なんせ日本人の約半分は癌になるのですから。そして胃癌は日本人が患う癌の代表選手ですから。