☆第1話『無防備都市―前編―』
(1979.10.14.OA/脚本=永原秀一/監督=渡辺拓也)
『太陽にほえろ!』の第1話は初代新人刑事=マカロニ(萩原健一)の初出勤からスタートしましたが、『西部警察』第1話は木暮課長(石原裕次郎)の西部署初出勤、そして生涯の盟友となる大門団長(渡 哲也)との出逢いからスタートしました。
人質を取って籠城中の銀行強盗犯に手こずってる団長に、あえて野次馬を装って「押してダメなら引いてみな」的なアドバイスを残し、颯爽とオープンタイプの外車ガゼールに乗って去っていく。
あんなド派手な野次馬がいるもんかと思いつつw、団長はアドバイスの意味を的確に理解し、みごと犯人を制圧して見せるのでした。木暮課長はそうして団長の人柄や力量を試したんでしょう。
前身『大都会』シリーズで裕次郎さんが演じた新聞記者「バクさん」や宗方医師の軽妙洒脱なキャラを引き継ぎ、事務員のレイコ(布目ゆう子)には初対面で「ピチピチだねえ~」なんて言いながら二の腕あたりをモミモミしたりしてw、『太陽にほえろ!』のボス=藤堂係長との違いを強調した感じだけど、番組が長期化するにつれ役柄がご本人の地に引き寄せられ、最終的にはほぼ同一人物になりますw(これは『長寿番組あるある』で裕次郎さんに限ったことじゃありません)
さて、そんな木暮課長のキャラ紹介は前菜みたいなもんで、この第1話と続く第2話における真の主役は、米軍の南富士演習場から強奪されたという設定のTU-89型装甲車。番組用にペイローダーという泥を運ぶ車を改造して作ったんだそうです。
それが銀座や新宿、霞ヶ関の街をひたすら進み、国会議事堂へと向かっていく、ただそれだけで第1話は終わっちゃいましたw 1時間かけて我々視聴者が得た情報は、大門団長に恨みを持つ者がTU-89を操縦し、そのバックには政財界の大物がついてるらしいという事だけw そこにはドラマのドの字も見当たりませんw
けど、あんな戦車みたいなのが見慣れた東京の街に現れ、ただひたすら進んでいく、それだけで充分面白いんですよね。大ヒット映画『シン・ゴジラ』も序盤はゴジラがひたすら前進するだけでした。
そう、これはほとんど怪獣映画のノリで、銃弾の雨を浴びせても全て跳ね返す、大型ダンプカーで体当たりしてもビクともしない怪物を、西部署・大門軍団は如何にして制圧するのか? もはや刑事ドラマじゃありませんw
軍団メンバーは課長、団長を筆頭に、タツ(舘ひろし)、リキ(寺尾 聰)、ゲン(苅谷俊介)、ジン(五代高之)、おやっさん(藤岡重慶)、そして「大門くぅ~ん!」でお馴染みの二宮係長(庄司永健)。
さらにオシャレなマンションで団長と二人暮らしの妹=漫画家の大門明子(古手川祐子)、木暮課長いきつけのバー「CORNER LOUNGE」のマスター=朝比奈(佐原健二)、1曲しかレパートリーがない専属歌手の薫(幸田 薫)も第1話で登場してます。
セクシーショットはもちろん古手川祐子さん、当時20歳。兄役の渡さんは当時38歳でしたw
西部警察、大好きでした。初期の頃は・・・
レビュー有り難うございます。
ところで最近、この「無防備都市」と、ある映画との接点を今更ながら見つけまして…
「太陽を盗んだ男」という1979年の東宝映画なのですが、「無防備都市」が放送されるのとほぼ同時期に公開されています。
こちらの映画でも、伊藤雄之助氏がいかにもな格好でバスジャックを起こし、皇居に突入しようとするヤバイ場面があります。
ストーリーは、原爆を自作した教師が大した目的もないまま、国を脅迫して警察を翻弄するというものですが、最初に出す要求というのがナイター放送の延長。一方「無防備都市」では近鉄を勝たせろというもの。圧倒的な力を持ちながら、思い通りに野球試合を見せろなどとしょうもない要求するのが同じ。
更に映画の後半、ド派手なカーアクションがあるのですが、スタント担当は、石原プロ作品には
欠かせない「三石千尋とマイクスタントマンチーム」。パトカーも一部は石原プロから持ってきたもの。それに各種効果音は東洋音響。
更に映画のヒロインの名前は「サワイレイコ」。
西部署の初代お茶汲み娘と同じ。
どうです?ここまで共通点があるとなると、これも紹介してみたくなりませんか?(何)