2020年冬シーズン、フジテレビ系列の月曜夜9時「月9」枠でスタートした新ドラマ。『絶対零度』シリーズとしては4作目になるんだけど、主役が上戸彩さんから沢村一樹さんにバトンタッチされて以降は別物と見なし、ここではエピソードナンバー「2―#01」としておきます。
先日『新春テレビ放談』を取り上げた記事にも書いた通り、テレビ視聴者の多くは新しい番組よりも長寿番組やシリーズ物を好む傾向にあり、会議室の人たち(局の上層部やスポンサー)としては『絶対零度』っていう人気タイトルをどうしても手放したくなかったんでしょう。
そういうのは今に始まった事でもなく、'90年代の連ドラ『刑事貴族2』のスタート時も、番組カラーは好きなように変えていいけど『刑事貴族』のタイトルだけはどうしても変えられないって局側から言われ、主役を引き受けた水谷豊さんは大いに戸惑われたそうです。
外国映画で全然つながりのない作品をシリーズ物にでっち上げちゃうのも日本興行界の常套手段だし、昔から我々は耳に馴染んだタイトルを好む傾向があるんですよね。
ハリウッドじゃ逆にシリーズ物なのにタイトルを変えちゃう場合が多いから、これは良くも悪くも日本人特有の気質。ウルトラマンや仮面ライダーがずっと続いてるのも、誰もが知ってるタイトルあればこそかも知れません。
で、今回の沢村版『絶対零度』パート2ですが、前作よりもアクション描写が強化されてるのは(初回だけかも知れないけど)素晴らしいと思う反面、ドラマ部分の重苦しさまでパワーアップしちゃったのはどうにも頂けません。
主人公の井沢警部補は過去に妻子を殺されており、その犯人を感情に任せて殺そうとした、いや、今でも似たような犯人を見ると殺そうとしちゃう危険人物なんですね。それが今回さらにエスカレートし、妻子の幻覚を日常的に見るほど心が病んじゃってる。
で、公安部部長(浜田 学)は井沢の部下である山内刑事(横山 裕)に拳銃を常備させ、井沢がまた犯人を殺しそうになったら即射殺しろって命じちゃう。書けば書くほどおかしな話です。
そもそも、これから犯罪をやらかす可能性の高い危険人物を取り締まる「ミハン(未然犯罪捜査班)」のリーダーを、明らかに危険と見なされてる人物に務めさせてること自体がまず大きな矛盾。
それに加え、刑事が犯罪者を射殺することは絶対許さないクセに、刑事が刑事を射殺することは容認しちゃってる警察上層部も支離滅裂としか言いようがありません。
私は屁理屈こねて重箱の隅をつつくようなドラマ鑑賞はしたくないんだけど、そんな根本的なところで矛盾を感じちゃったら、もうどうしょうもない。どんなに凄いアクションを見せてくれたところで乗れません。
どうせまた警察内部に黒幕がいて、全ては井沢を合法的に抹殺するための陰謀だった、みたいなオチを用意してるのかも知れないけど、そんな回りくどい&取って付けたような話につき合わされるのもまっぴらゴメンです。
これまで何度同じこと書いて来たか分かんないけど、そもそもアクションシーンっていうのは観る者をスカッとさせる為にあるんです。
今回もせっかく救いようのない悪党どもを登場させ、せっかく華麗なアクションでバッタバッタと倒してくれたのに、その直後に沢村さんがメンタマひん剥いて主犯格を殺そうとし、横山くんが沢村さんを撃てないもんだから自分が身代わりになって撃たれちゃうという、なんだかモタモタした展開で見事にカタルシスを打ち消してくれました。すべて台無しです。
スカッとしないアクションは、ただの暴力です。だったらそんなの要りません。さっさと沢村さんを心療内科に連れてってあげて下さい。あとは紅一点の小田切刑事(本田 翼)が主役を引き継ぎ、悪党の股間を蹴りまくる痛快アクション路線で突っ走りますから。それならホント毎週観るしDVDだって買っちゃいますよ。
シリアスなのが悪いんじゃない。ただ、矛盾点をいくつも生んでまで無理やりシリアスにしなくたってええやんって話です。刑事アクションなんて所詮はファンタジーなんだから。マンガでいいんですよホントに。
その点、前作のレギュラーだった柄本時生くんの後任を、実父の柄本明さんに務めさせる遊び心は素晴らしいと思います。そういうスピリットをなぜストーリーに活かさない?
ほか、伊藤淳史くんに代わるミハン統括責任者として水野美紀さん、元子役という異色の経歴を持つミハンの新メンバーに森永悠希くん、捜査一課の新人刑事に粗品(霜降り明星)くん、といったメンバーが新加入してます。
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