老い生いの詩

老いを生きて往く。老いの行く先は哀しみであり、それは生きる物の運命である。蜉蝣の如く静に死を受け容れて行く。

760;見る風景が違う

2018-05-28 11:50:31 | 老いの光影 第2章
脱水症から寝たきりになった91歳のお婆さん 要介護5の認定を受けいまは要介護3の状態までに改善された

見る風景が違う

住み慣れた家で
ジッとしているのと
介護施設で
ジッとしているのとでは
ジッとしている意味は違うような気がする

それは風景の違い であることを述べた

介護施設で
ジッしたままと車いす(または椅子)に坐っている
目にする風景は
(本人にとり)
見覚えのあるものは
なに一つない
無機質な壁だけ
外の景色が見えれば
超ラッキーであり
それは稀である
だから
つい俯いてしまい
目にするのは
汚れたテーブルの上面だけ
施設内は
非日常的な風景
つい車いすの上で眠ってしまう

住み慣れた家の居間で
ひとり堀炬燵に
坐り
ジッとしている老人の目に映る風景は
何か

天井や壁、畳など
汚れや滲みがあり
柱には成長を刻んだ傷の痕
茶箪笥の中や上には
旅行の土産物や家族の集合写真や孫の写真立
上の壁には夫や子どもたちが表彰された額淵もある
其処には
長年生きてきた老人の思い出がぎっしり詰まっている
何もせずとも
ジッとしていても
目が開いているときは
思い出の品々を見ているだけで
家族や老人が生きてきた思い出の物の風景がある

ひとり暮らしであっても
家の中の風景から
老人にとり思い出があることだけで
生きていける風景がある

心の風景は大切


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