老い生いの詩

老いを生きて往く。老いの行く先は哀しみであり、それは生きる物の運命である。蜉蝣の如く静に死を受け容れて行く。

1305;帰りたい帰れない 

2019-12-08 16:39:37 | 歌は世につれ・・・・


帰りたい帰れない

大都会に夢を求め
故郷を出た青年

『あゝ上野駅』(井沢八郎)の歌を思い出す

大都会の人波のなかに
ぽつんと一人
「迷子の子犬は一人で泣いた」

辛くやりきれなくどうしようもなく
お母さんのいる故郷(ふるさと)に帰りたいが
帰れない いまの自分

淋しい歌である

老人保健施設で働いているときに
この歌を車の中で聴いた

老人保健施設で療養している老人たちのことが思い浮かんだ
脳卒中や転倒などにより躰、四肢が不自由になった老人
物忘れが進み家族の名前や顔も忘れてしまった老人

老人保健施設は「家庭復帰をめざす」施設といわれてきた
しかし、現実は違う
家に「帰りたい」けれども 
家に「帰れない」事情がある老人たち

病院から老人保健施設に移り日がたつほど
家は遠くなり 「帰れなく」なる
自分が家に帰ることで
家族がバラバラになってしまう
自分さえ我慢すれば
家族の幸せは守られる

戦前戦後の忍耐に比べれば
老人保健施設での療養は耐えられる
老人はそう自分に言い聞かせ
家族が面会に訪れると
笑顔で「ここはいいところだ」と。

老人のこころの奥底には
「帰りたい 帰れない」の詩がある
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2 コメント

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想う気持ち (星光輝)
2019-12-10 05:35:26
のりさま

老親が子を想う気持ち
大人になった子どもが老親を想う気持ち

その気持ちのてんびんの傾きは
微妙に違う

認知症になっても
子を想う気持ちは忘れてはいない

夫婦間の介護は
夫婦が生きてきた愛や柵が左右する

介護
介護される方も
介護する方も
つらい
つらいときもあるが
何か 教えられることもある
返信する
こんばんは(^^♪ (のり)
2019-12-08 20:01:15
身につまされます・・・ いづれ・・・直面することになるであろう現実として。
返信する

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