自然となかよしおじさんの “ごった煮記”

風を聴き 水に触れ 土を匂う

探検活動 ~ターザンごっこ Ⅲ~

2015-11-26 | 随想

仕事場(児童館)でわたしが担当している事業に,土曜日に行う探検活動があります。『土曜ちょこっと探検隊』 と名づけて,月3回程度,それも午後の1,2時間,希望する子どもと親がやって来て,様々なふるさと体験をします。土曜日の開館を利用増に結び付ける,家にいてこれといってすることのない子,テレビ・ゲームに夢中になっている子らに魅力的な遊び空間をすこしでも提供する,それが事業に込めるわたしたちの願いです。

現在登録者はおとなも入れて15名余り。活動場所は野外。野に出かけたり,川に行ったり,さらには近くの山に入ったりします。

子どもたちは,田舎であっても,習い事やスポーツ活動をしている子が多く,みんなが揃うのはたいへんで,当日参加できるメンバーでやっているというのが実情です。それでも,毎回10人程は集まります。

内容は,だいたいわたしが中心になって考え,参加者の希望を大事にしながら決めていきます。参加者任せでは,活動に深さや広がりがないので,先細りするだけです。むしろ,わたしが新しい目線で仕掛け,メンバーの気持ちを刺激することで,活動するたのしさを存分に味わってもらうことが重要だと今は考えています。

そうであっても,活動を終始わたしが引っ張るというのでは子どもは受身になってしまいます。そうはしたくありません。自立した子に近づけるために,すこしでも子どもの主体性を大事に育てたいのです。それで探検隊長・副隊長を相談して決めてもらいました。活動をとおして,彼らが中心になって動きます。活動に慣れるにしたがって,内容もまた高まっていくはず。わたしはあくまでガイド役なのです。

過日のこと。「スライムを作りたい」という希望が出されました。わたしは,日頃から子どもの希望はひとまずたいせつにしたいので,たくさんの子がそれを望むなら応えたいと思っています。そのとおりの雰囲気だったので,従うことにしました。しかし,ほんとうは,そうした工作内容は客寄せパンダのようなものと思っていますので,大々的には取り上げたくはありません。

そうでありながら,「ヤッター!」と喜ぶ子らのこころに沿っていってはじめて,子らを理解できる“おじさん”目線に立てるのだ自分にいい聞かせています。そんな複雑な気持ちで当日を迎えました。

ところが,サッカー少年たちに試合が入ったとの連絡が入りました。隊長・副隊長もそれで欠席。結局参加者は3人に。

この活動も外で実施。スライムは単純に作るのでなく,異なった液を混ぜる化学反応を利用するという点を強調して,手順だけ説明し,3人にすべてやってもらいました。わたしは原材料を出して,あとは見守るだけ。子らにはわくわく感がたっぷり。こんな楽なガイド役はありません。

さて,ここでわたしのほんとうの出番。作業の間に,「ターザンごっこをしよう」と誘いました。子どもたちは乗り気じゅうぶん。


たまたまそれを見た,来館児童3人が「わたしも入れて!」といってやって来ました。しばらくやった後,「おもしろい! 探検隊に入りたい!」といい出しました。たのしそうな雰囲気が伝わったのでしょう。


ターザンごっこはこれでおしまい。仕掛けは大成功。あとはスライム作りの続きです。 結局6人が作りました。

この活動を,子を育てる手伝いをする事業として位置づけるために,次の約束事を決めています。これを『安全に,たのしく活動するための探検5カ条』と呼んでいます。

 第1条 準備を整えて活動に入る。(忘れ物?!)

 第2条 きちんと理解して活動する。(傾聴! 質問!)

 第3条 人と気持ちよくふれ合う。(言葉遣い,しぐさ! コミュニケーション!)

 第4条 自分から進んで動き,汗を流す。(合い言葉「わたしがやりましょう!」)

 第5条 自分のことは自分で責任をもって行動する。(社会ルールを鍛える!)

これを決めているのは,そうではない場面があってとても気になったからです。お蔭で今では,子どもの自主性・責任感が育っているように感じています。子どもとガイド役のわたしとの間にコミュニケーションが築かれ,結構良好な関係のなかで活動がたのしめています。