今秋は,我が家にとって実りの秋でした。カキはもちろん,イチジクもスダチも,さらにはキンカンもという具合なのです。
イチジクは2種をそれぞれ一本ずつ植えています。それがほんとうに豊作でした。生食にしたり,煮てジャムにしてパンに付けたり。もう申し分のない味覚でした。これぞ,自然からの贈り物だなあと感謝しています。
そのイチジクは季節が終わり,枝に残った実が今,昆虫たちに味覚をプレゼントしています。自然に割れた実から甘み成分が滲み出て,それを敏感にキャッチした小さな虫たちが訪れているのです。いちばん多いのはショウジョウバエ。
11月9日のこと。ホソヒラタアブがいることに気づきました。口吻を伸ばしてペタペタと舐めています。わたしに気づいていったん実から離れましたが,よほど魅力があると見え,舞い戻ってきました。
実に降り立つと,さっそく口吻を伸ばし,脇目もふらずに蜜を舐め始めました。そうしながら,すこしずつ歩くのです。
実は熟しすぎているようで,カビが生えています。それでもエネルギー供給源として昆虫たちを引きつけているようです。
ホソヒラタアブより大きめのハチのなかまが登場しました。機敏そうなからだつきです。立派な長い触角で,この場所を嗅ぎ付けたのでしょう。果肉にバリバリと噛り付く口をしています。
ニクバエのなかまもやって来ました。堂々とした姿です。だからといって,ショウジョウバエが警戒している様子はありません。共存していることがわかります。
イチジクの木に実った実のうち,たった一個が裂けて,その存在をアピールしているのです。本来なら,実を種子ごと食べてくれる鳥や小動物を招きたいはず。昆虫たちは感覚器官を巧みに使って嗅ぎ付けました。極上のごちそうにありついているようです。
昆虫も我が家も感謝。