自然となかよしおじさんの “ごった煮記”

風を聴き 水に触れ 土を匂う

イシモチソウの罠とハッチョウトンボ

2023-05-26 | 生物

ハッチョウトンボの生息地は山裾の湿地。そこにはイシモチソウとモウセンゴケが群生しています。そこの土壌には生育に必要な栄養分が乏しいので,道端で見かけるありふれた雑草は生きていけないのです。イシモチソウやモウセンゴケは,ある意味厳しい環境に追いやられた植物です。

これらの植物は栄養源は昆虫から得ます。食虫植物とは呼ばれるものの,食べるわけではなく昆虫のからだを分解し,そこに含まれる栄養分を吸収するだけ。不毛な地でなんとしてでも生き抜こうと進化してきた結果を,わたしたちは目の当たりにしているわけです。イシモチソウのかたちとつくりはじつにワンダー!

茎生葉から生える腺毛の先には粘液滴が。

 

そう思いながらイシモチソウを見ていくと,ハッチョウトンボが捕まっているのが目に留まりました。

 

ハッチョウトンボはまだ生きています。しかし,この粘液から逃れることは無理のようです。罠にかかってしまったのです。

 

翅がこんなふうにすっかり絡みとられています。

 

これはすごい場面! 自然の摂理はここでも容赦なし。