ハッチョウトンボの生息地は山裾の湿地。そこにはイシモチソウとモウセンゴケが群生しています。そこの土壌には生育に必要な栄養分が乏しいので,道端で見かけるありふれた雑草は生きていけないのです。イシモチソウやモウセンゴケは,ある意味厳しい環境に追いやられた植物です。
これらの植物は栄養源は昆虫から得ます。食虫植物とは呼ばれるものの,食べるわけではなく昆虫のからだを分解し,そこに含まれる栄養分を吸収するだけ。不毛な地でなんとしてでも生き抜こうと進化してきた結果を,わたしたちは目の当たりにしているわけです。イシモチソウのかたちとつくりはじつにワンダー!
茎生葉から生える腺毛の先には粘液滴が。
そう思いながらイシモチソウを見ていくと,ハッチョウトンボが捕まっているのが目に留まりました。
ハッチョウトンボはまだ生きています。しかし,この粘液から逃れることは無理のようです。罠にかかってしまったのです。
翅がこんなふうにすっかり絡みとられています。
これはすごい場面! 自然の摂理はここでも容赦なし。