自然となかよしおじさんの “ごった煮記”

風を聴き 水に触れ 土を匂う

サザンカの花,昆虫(4)

2017-01-21 | 昆虫と花

1月を迎えたある日。クロバエのなかまがやって来ました。比較的穏やかな日には,羽音が響くほど。気温の変化にとても敏感なことが窺えます。 


からだは花粉まみれ。花弁に付いた好物だってあさります。まことに貪欲。 

 
それでも足りないらしく,引き返して,また蜜源を求めていきます。


別の花にもクロバエがいました。 

 
さらに別の花でも。これだけ花粉が付着していると,このハエの貢献度を考えずにはおれません。あっぱれです。

 
クロバエはまだいました。今度はクロヒラタアブとなかよく蜜を舐めていました。絵になる風景です。


冬,昆虫との出合いはお天気次第なのです。花が咲いている限り,探せばお目にかかれます。

 


サザンカの花,昆虫(3)

2017-01-20 | 昆虫と花

冬としては暖かい昼間のこと。ハナバエのなかまが訪れました。からだを覆う剛毛が印象的です。林立するオシベを抱え込んで花の中を動いていました。 

 
葯をつかんで,舐めました。からだには花粉がたくさん付いています。

 
頭を下向きにして,蜜源を探り始めました。蜜でおびき寄せる作戦が成功! しっかり味わっている様子でした。

 
しばらくして蜜源から戻って来ました。わたしなら,「あー,おいしかった!」とでもいいたくなるところ。

 
葯の上を歩きます。そして柱頭にやって来ました。昆虫と花の見事なつながりが見える瞬間です。

 
他の花でもおなじハナバエを見かけました。花の奥に頭を突っ込んでいきました。

 
口吻が見えたらすごいなあと思っていると,そのとおり口吻の先が見える瞬間が訪れました。ビッグチャンスです。まるでゾウの鼻先のような動きに見えました。口吻にも花粉が付着しています。

 
採餌が終わったタネバエのからだには花粉がたくさん。からだのつくりと花とのつながりには切っても切れない関係があります。接写の小宇宙には,肉眼では見えてこない「ほほーっ!」の世界が拡がっています。

 

 


地域ミュージアムで考える(44)

2017-01-19 | 随想

三方晶系の段ボール立体が,ここまでできてきました。言うは易し,行うは難しどおり,ずいぶん苦労しました。先がすぼんでいるので,接するのりしろ同士を接着するのがとにかくたいへんなのです。 

 
さらに下写真のように重みを加えてかたちを整えていきます。しかし整えること自体が難儀。瞬間接着剤で,段ボール同士をくっ付けるものがあれば申し分ないのですが,あっても,手作業になるとかえって危険でもあります。難儀さゆえに,完成したら喜びが大きいはず。そう思いながら根気よくやって行きました。


そうして,おしまいののりしろを接着!

 


それが乾いて,大きめの隙間に湿紙を詰め込みます。

 


ついに完成! 一つながりになった18面の立体! じゅうぶん喜びがこみ上げてきました。愛着のある作品に仕上がりそうです。この作業ばかりをやっているわけではないものの,延べ2週間は費やしたでしょう。


あとは地図を描いて着色すれば完結です。

難易度の高い立体づくりに挑戦したので,これよりも単純な三角錐とか六角錐とかをもった水晶型の立体もできそうです。これらを完成させたら,見る人の目を引き付けるかもしれません。

                                        (つづく) 

 


サザンカの花,昆虫(2)

2017-01-18 | 昆虫と花

12月30日(金)。最低気温-0.9℃,最高気温8.4℃。

ユスリカのなかまと思われる小さな昆虫が蕊に取り付いていました。ふさふさした触覚に付いているのは,どうやら花粉のようです。鉤状の口器が光ります。なにかを削り取って栄養分を補給しているのでしょうか。

 


キタオオブユと思われる昆虫が葯にいました。これは送粉者としてのあっぱれな姿です。 


花弁に移って表面を舐めている感じでした。 


ガガンボのなかまのよう。小さい小さいからだつきです。現時点では同定はできていません。蜜源に細長い口吻を突き立てて餌を得るのでしょう。このからだなら,どの蜜源もたっぷり栄養を提供できるでしょう。 

 
これらの昆虫たちは,目が観察に慣れて来ないととらえにくい大きさ(小ささ?)です。注意深く見て行けば,だれにでも見つかります。目に飛び込んで来たら,「あっ! 冬の虫だ!」とこころが躍ります。

 


ジャコウアゲハ観察記(その361)

2017-01-17 | ジャコウアゲハ

大雪が降った翌日のこと。ジャコウアゲハの蛹が雪を被っているか,見に行きました。途中見た河川敷の竹藪では,雪に押し倒された竹がまだ雪を被っていました。ふだんは思い切り生い茂っているだけに,いくらしなやかなからだとはいえ,枝に雪がバサーッと積もれば大きく曲がるほかありません。でも,縦に裂けない限り近いうちに元に戻るでしょう。


ジャコウアゲハの棲息地にて。波トタンが傾いている分,冠雪が避けられたようです。「ホッ。よかったー!」。蛹が数個寒さに耐えています。


ここにも蛹がありました。


ここにも。鉄板の傾きや波をうまく利用して身を守っています。


有刺鉄線に付いた蛹には雪はありませんでしたが,一度は雪を被ったことでしょう。腹部に黒っぽい色が見えます。もしかすると,体内で異変が起こっているのかもしれません。


同じ個体を反対方向から撮りました。向こうに見える木々はクリです。


棲息地での観察はここまで。我が家の庭にある蛹の一つは完全に雪に埋もれています。雪の下は表面程低温でないにしても,氷点下であることはまちがいありません。枝に付いている個体は,地上30cmのところにあって,降雪時は雪帽子を被っていました。

それらの個体の身を思うと凍えそうな寒さに感じられますが,氷点下5℃や10℃程度ではけっして凍りません。越冬昆虫の血液中にはグリセリンが含まれていて,水分が凍結して細胞を破壊するのを防いでいるのです。低温科学の知見が教えてくれています。長い生物史のなかで,こうした生理機構を整えた種が環境に適応して生き残ってきたというのが筋です。したがって,「かわいそう」と思いがちな人間の感傷は完全に的外れなのです。

羽化まであと3カ月。

 


さらに積雪,びっくり

2017-01-16 | 日記

最強寒波の影響で,今日も降雪。朝,積雪量を計ると,昨日分と合わせて24cm。こんなに積もった記憶は近年ありません。仕事が休みだったので,雪模様をゆっくり記録しておきました。そんな中から,数枚アップします。

庭木がすっぽり雪に包まれて。まるでモノクロの世界。


昼近く,雪が止んで集落内を歩きました。タイヤの跡がずっと伸びて,そして雪の白さが輝いて。

 

 
青と白がどこまでも景色を引き立てて。

 


空と山と川が競演して,そして雪が主役で踏ん張って。 

 

 
白と青の間に家並みがあって。

 


そして,家の庭にメジロがやって来て、ひとしきりさえずって。 コンデジで,しかもデジタルズームで目いっぱいに拡大して撮影したので画質は今一つ。証拠程度に。

 

 
このあと,玄関をはじめ,自宅周りの雪かきで汗を流しました。たぶん,ずっとこころに残る一日になりそう。 

 


今日はトンド

2017-01-15 | 日記

1月15日(日)。お正月を締めくくるトンド行事の日でした。昨夜来の雪で15cmの積雪量。今冬最大の寒波の襲来です。


広場の周辺では雪かき作業が行われました。トンドでこんな雪とは,初めての経験でした。


みんなが集まったあと,室内でぜんざいがふるまわれ,恒例になっているビンゴゲーム大会が行われました。

そのあと,トンドに点火。例年どおり,わたしが火種をつくる担当。子どもの代表にその場で教授。採用した方法は火打ち式発火でした。雪が小休止状態の中,簡単に火が得られ,ホッとしました。子どもたちが持つトーチにこの火が移され,トンドに点火されました。


たくさんの人が見守る中,トンドの煙が高く上がっていきました。しかし,竹が湿っているため,いつものようには燃えず。


集落の住民一人ひとりに,そして集落全体にハッピーが訪れるように願うひとときとなりました。これで正月気分から完全卒業!

 


冬,ミズナを食する昆虫たち

2017-01-14 | 昆虫

畑のミズナがよく育っています。無農薬栽培なので,害虫が居座ります。野菜の出来がよすぎても,食べ切れません。適当に害虫にもやる気持ちで放置しています。すると,昆虫の動きが見え始めます。

ダイコンサルハムシは居心地よさそうです・

 


幼虫にも,ミズナは食害されます。姿はテントウムシに似ています。 


カブラハムシの幼虫は常連です。 

 
それが落とした糞が葉に付いていました。まだ排泄されて間もないようです。


ナナホシテントウの蛹が付いていました。ナナホシテントウは成虫越冬なのに,蛹だなんて珍しい! 自然は多様っていうことでしょうか。もしかすると,死に絶えているかもしれません。 


タネバエのなかまがとまっていました。たまたま休憩していたのでしょう。 

 

 
農薬に頼らない野菜づくりから,昆虫たちのゆたかな姿が浮き上がって来ます。 

 


「ツッちゃんやないか」

2017-01-13 | 随想

市内のガソリンスタンドで給油しようとしたときのこと。向こう側の年配の方から声が掛かりました。仮にマッさんとしておきましょう。わたしはマッさんをまったく存じあげません。そのマッさんがマスクをしていらっしゃったので,ますますわかりません。

マッさん「おい,ツッちゃんやないか。久しぶり」

はじめ,誰に向かってのことば掛けかわからなかったので,大して関心を持ちませんでした。また「ツッちゃん」という声。どうやらわたしに向かって声を掛けていらっしゃる模様。でも,わたしはツッちゃんやないし。

わたし「えっ? わたしのことですか」

一応相手を確認する必要があると思い,目を合わせながら返事をしました。


マッさん「あんた,ツッちゃんやろ」

わたし「わたしですか? わたしはツッちゃんちゃいますよ。ヒーちゃんですわ」

マッさん「ツッちゃんとちゃういうてか。それにしてもツッちゃんによう似とってやなあ。あんた,市内の人かいなあ」

わたし「はい,市内に住んでます。ツッちゃんいう人もこの市に住んどってんですか」

マッさん「そうや。てっきりツッちゃんとばかり思たわ。ほんまに違うんかいなあ」(まだ信じられないという様子)

わたし「絶対に違います。それで,ツッちゃんはええ人ですか」

マッさん「そら,ええ人やで。わしが付き合うとるもんは,ええもんばっかりや。はははは……」

わたし「それでホッとしましたわ」


気がつけば,近くにおられた高齢の女性がクスクスお笑いでした。 

世の中に自分と似た人がいてもなんらふしぎには思えませんが,小さな田舎のまちでわたしに似た人がいるだなんて。ツッちゃんと似たわたしがいるだなんて。

 

(注) 写真は本文とは関係ありません。朝日を浴びて旅立とうとするガガイモの種子です(1月12日撮影)。

 


すっかり冬眠中,キタキチョウ(続)

2017-01-12 | 昆虫

寒くて,からだがまったく動きません。自然に身を委ねて,なるようになっていくほかありません。キタキチョウは,その後,同じツワブキで熟睡中です。虫の目写真は,最適な環境のなかで生きているいのちを環境と合わせて切り取ります。「一冬,こんなところで過ごすのか」。見る者に,そんなワンダーな気持ちを湧き上がらせてくれます。

 
葉をそっと裏返しにして,真正面から撮りました。なんと行儀のよい姿勢をしているのでしょう。

 
やや斜めから撮りました。複眼は,このチョウのいのちにとっても最大の外界感知器です。

 
少し暖かい日があれば,キタキチョウは喜んで舞い上がります。そうして,また新しいねぐらで休眠します。そうしながら春を待ちます。