自然となかよしおじさんの “ごった煮記”

風を聴き 水に触れ 土を匂う

地域ミュージアムで考える(53)

2017-03-11 | 随想

続き話です。

拡大した地図の原図を立体に載せ,カーボン紙を挟んで写し取っていきます。 

 
経線を15度おきに引きました。


赤道を色付け。 


陸地を緑色に着色。辺の部分を丁寧に仕上げていきます。どうしてもズレが生じているので,微調整がいるのです。 

 
日本を白に。経線については極細マジックで表示しました。


これで出来上がりです。サイズは赤道(下底)一辺25cm,上底一辺12.5cm,立体全体の高さ30cm。取りかかってから10日以上経っています。これだけに集中しているわけではありませんが,時間がたっぷりかかりました。 見た人が「これ,どうやってつくったのかなあ」と想像したくなれば,作品づくりは大当たりということになります。さて,どうでしょうか。

 


地域ミュージアムで考える(52)

2017-03-10 | 随想

斜方晶系で三方晶構造をもつ立体地球づくりに取りかかりました。なんといっても最初は,各側面の地図を完成させておかなくてはなりません。それができると立体をつくります。今回はこれについて記事にします。

段ボールで斜方晶系をつくるのは,波板構造の厚紙が影響してなかなかむずかしいものです。展開図を書いて,のりしろ部分と付けて切り抜きます。そして谷折り線に溝をつくって折る準備が整いました。


のりしろを接着しながら組み立てていきます。 

 
のりしろ部分がきっちり合わさるように微調整しながら接着します。


上から重しを載せて密着させます。 

 
こうして立体が完成しました。

 
つづきは地図を描いて着色します。これについては次回に。

 


地域ミュージアムで考える(51)

2017-03-09 | 随想

本シリーズ45でご紹介済みの立体地球に図を描き,着色をしました。

側面は3つにわかれているので,各面の色をちがうものにすることにしました。変化があるのは雰囲気が変わっておもしろいものです。まずは緑色です。


黄色も使いました。 


赤も。陸地をマジックで縁取りました。こうすることで,くっきりと見えてきます。 


そして,底面は……。黒!

 


棚に置くと,下写真のようになります。


こんなふうにして,形づくりと地球づくりをたのしんでいます。 


 


地域ミュージアムで考える(50)

2017-03-08 | 随想

このほど,第3回プラネタコンサートを開催しました。7時から30分間のミニコンサートです。30人も入れば満席という会場なので,だれもが企画者・出演者になれることを前面に打ち出してPRに努めているところです。だれでも気軽に利用できるとなれば,地域づくりにもお役に立てるはず。

ミュージアムは市民をはじめとする利用者にとって,たいせつな施設です。この施設をほんとうにたいせつな施設,つまりなくてはならない施設に高めていくには,使う人の目線に立って考え,行動することが欠かせません。

これまではこの検討が十分だったとはいえません。運営を引き継いだ立場からいえば,いい過ぎかもしれませんが,時代の流れを見通した経営論がひ弱だったと感じています。

ひ弱さにメスを入れて,改めてミュージアムのこれからを見直すと,市民を中心にしつつ広域な視点で施設利用を推し進める目が欠かせないと思います。今回うれしいことに,市外の方から出演依頼が寄せられました。出演者は少年少女合唱団と指導者の皆さん。とてもうれしい話です。

さて,当日,1時間前にリハーサル開始。プラネタリウムの投影についても簡単に調整して本番を迎えました。


コンサートが始まりました。全8曲を解説してつないでいったのは子どもたちです。30分間,頭上には星空が投影され,皆さんはゆったりとした気持ちに浸られたようです。曲が終わるたびに温かな拍手。


終わって,ドーム内に大きな拍手。わたしはまことに温かくってぽかぽかした気持ちになっていました。出演いただいた皆さん,お越しいただいた皆さん,ありがとうございました。


このようにして,地域の皆さんにコンサートを次々につないでいっていただければ,新しい文化が育つように思うのです。わたしは,この場を「地域づくりのお手伝いをするひととき」「科学と芸術が出会う交流ひろば」と言い表わしています。ひとときとひろばとが普段着の姿になっていくのが願いです。

 


昆虫・花・色

2017-03-07 | 昆虫と花

花弁をもつ花には当たり前ながら色があります。色は花の主張です。無駄に色が付いているわけではなく,虫を呼び寄せる戦略として身に備わっているものです。

花の色には多種多様あります。それでも,大ざっぱにいえば,よく目に付く色とそうでもない色とがあります。というか,わたしたちの目から見て目立つ色と地味な色があって,その間のいずれかに位置しているように思えます。これって,とても主観的ないい方で申し訳ありません。

それはさておいて,冬から早春にかけて目立つのは白とか黄色です。なかにはサザンカやホトケノザのように赤いものもありますが,ふつう目にするものは白・黄が断然多いように思います。


我が家の庭もそうです。サザンカもありますが,ただよく考えてみると中心にある蕊は白と黄で彩られています。 花粉も黄色です。蕊の色は「中心においしいごちそうがあるよ」というシグナルにちがいありません。やはり白や黄はたいせつな色なのでしょう。観察をしていると,昆虫の動きから推論できます。高遠な理論を引き合いに出すまでもなく,納得できる事実です。

サザンカのほかに,ロウバイとマンサクの花が咲いています。どちらも黄色を主体にした花です。マンサクは中央付近が紅色をしています。萼までも! そこにごちそうがあることを教えているのでしょう。黄色い花弁をパァーッと広げ,たくさんの花が共同して盛んにアピールしているにちがいありません。冬から早春にかけては,ただでさえ昆虫の少ない季節です。少ないその昆虫になんとか来てもらえないかと願っていることでしょう。

 


加えて,中心部にある花粉も黄色。花はとにかく黄色尽くしです。

そのほか,街中で気をつけて見ていれば,黄色い花の一つサンシュユが目にとまることも。「ロウバイかな」と思って近づくと,それがちがうのでびっくりした経験があります。フクジュソウもその一つ。

花が黄色をしているという点に大きな意味があることは,たとえば昆虫学者の次の記述からも窺えます(『動物はなぜ動物煮なったか』日高敏隆著)。ただ,チョウを例示した話題なので,嗅覚の発達したハエ類にそのまま適応できるかどうか不明ですが。

  • チョウは花の形でもにおいでもミツのかおりでもなく,ただその色だけによって,花に飛んでくる
  • 「色」にはいくつかのものがあるが,紫と黄色がもっとも効果が強い

昆虫は色をたいせつな識別情報にして訪れるのですから,花の少ない季節にわざわざ派手な色でアピールするまでもありません。競争相手がたくさんあって,色とりどりに咲き誇らなくてはならない頃とはまるでちがうのですから。

匂いにしても,強烈な匂いを放ってまでアピールする必要はちっともない季節です。微かに芳香を放つ程度で十分なのでしょう。寒風に身をさらしながら,数える程度の昆虫の訪問が実現すれば,もう十分とでも言いたげな咲き方です。

こう考えてくると,この時期に咲く花はまことに上品で味わいのある姿を見せているように思えてきます。 

 


フキノトウ。いいな,この苦味

2017-03-06 | 日記

啓蟄を迎え,どんどん春がそこここに匂い始めました。

公園で知人と話しているときに彼から出て来たことば。「木が春の色になりかけたなあ」。見ると,遠くのヤナギの枝がぽっぽっと黄緑っぽく着飾った感じです。まちがいなく芽ぐみ始めたのです。「ああ,いいなあ」。思わず呟いていました。ヤナギは冬の寒さとしっかり向き合ったからこそ,今を迎えることができたのです。

家の片隅で,フキノトウが地面からちょこんと頭を覗かせています。


なかには花を開き始めたものもあります。これも冬の寒さと対峙し,耐えたからこそ,今日を迎えることができたのです。


例年のように,簡単調理でこのいのちをありがたくいただくことにしました。

『春苦味,夏は酢の物,秋辛味,冬は油と合点して食え』 。この教えどおりの味が舌から伝わってきました。早春の味はまことに鮮烈。感謝。

新しい季節が訪れ,再び草やら虫やらに出合えます。いそがしくなります。それを思うとわくわくしてきます。

 


今冬のマンサクと昆虫(17)

2017-03-05 | マンサク

マンサクの花は4という基本数を持っています。花弁・萼片とも4枚で,それらは十字形に配置され,萼の隙間を埋めるように花弁があります。花弁が落ちるときはバラバラになるので,離弁花のなかまになります。 

 
昆虫を探しているうちに目に入ったのが,花弁が6枚の花です。非常にめずらしいといえます。初めて見ました。ふつうの花弁の間から,短めの花弁が2枚にょきっと出ているのです。


近寄って撮ると,こんな感じです。 

 
ところが,ふしぎなことに,脇の花でも同じタイプの花が2つも見つかりました。どちらも花弁が5枚。増えた1枚は小さな花弁です。①②をもつ花は上の写真,③及び④はこの例です。

 


一枝の先に,こんな花が3つもかたまって付いているとはじつにおもしろい話です。進化の流れを踏まえて解釈が成り立つのでしょう。 しかし,蕊の数・形態,萼の様子に変化は見られません。おもしろくって,ふしぎな現象です。

 

 


❜17 ホッカイコガネ栽培記~真正種子編~(1)

2017-03-04 | ジャガイモ

3月3日(金)。

手元に一昨年と昨年に採種したホッカイコガネの真正種子があります。ジャガイモは厳密にいえば自家受粉を嫌う植物なので,ホッカイコガネになった果実から取り出した種子は純正のホッカイコガネの遺伝子を引き継いでいなくて,ここにはほんのわずかに他品種の遺伝子情報が組み込まれています。限りなくホッカイコガネに近いけれども交配種になります。いい換えると,芽生えるのは品種改良がなされた新品種とみなせるわけです。


素人が品種改良の初歩をたのしめるなんて,なんともおもしろい!

採種後2年も経過している種子がはたして発芽するのか,興味津々です。

蒔くのはポットと育苗箱の両方にしました。種が小さいので,今回は大ざっぱな蒔き方のままにしておきました。種子も選別せず,一カ所の播種数も適当です。昨年の経験から発芽率が80%に達することがわかったので,厳密な栽培は必要ないと判断したのです。


10日後には発芽の兆候が現れるのではないでしょうか。 

 

 


❝はりまる❞プランター栽培記~結実を求めて~(1)

2017-03-03 | ジャガイモ

3月2日(木)。

はりまるは,近年,神戸大学附属農場で育種された品種です。結実する確率が高いということで,昨年度,農場でイモをいただき,試みにプランター栽培をしていました。結果は芳しくありませんでした。思うほど生長せず,結実までには至らなかったのです。がっかりというところ。イモは大したことなかろうと思い,掘り上げずそのままにしていました。

そして今日,掘り返すと下写真のイモが出て来ました。小粒ながら,プランター2つに植えていたので,左右に置いたイモができていたというわけです。球形をしているのが特徴です。大きなものは40gあります。寒い冬を乗り切ったのは立派。


よく見ると,目の部分がほのかに赤味がかっています。これはこの品種ならではの特徴です。

 
このイモを見て,チャレンジごころが湧いていました。目標は,再び栽培して是非とも結実する様子を観察したいというもの。さっそくプランターに植えました。2つのプランターに2個ずつです。昨年の失敗の経験を生かしてしっかり育てようと決意しています。


ホッカイコガネとともに観察をするのがたのしみです。息の長い話! 

 


❜17 ホッカイコガネ栽培記~種子を得たくて~(2)

2017-03-02 | ジャガイモ

3月2日(木)。晴れ。

ジャガイモの植え付けをしました。イモの切断面が乾いたので植え付けても大丈夫と判断。「切り口に木灰などを付けて防腐対策にしている」と言う人があります。おまけに,その手を勧める指南書があります。しかし,わたしは一切そんなことはしません。切り口を風に当てていたら自然治癒するのが生きものの持つ再生能力だと信じているからです。少々の擦り傷なら,人だってきれいに洗って放置しておけば治るのですから。生きものが根源的に備えている生命力をもっと信じなくちゃ。


溝に,元肥として化学肥料と堆肥を入れます。


そうして覆土をします。これで植え付け可能状態です。種イモを20~30cm間隔で並べました。全部で38個です。


その上に土を被せました。これでOK。


一方,プランター植えは2つにしました。元肥は露地植えと同じです。イモはそれぞれ2個と3個で,合計5個。これはミュージアム展示用です。

 


植え付け完了! さあ植物が目を覚ます春が到来,といったところです。