自然となかよしおじさんの “ごった煮記”

風を聴き 水に触れ 土を匂う

ジャノメチョウの産卵(続々)

2017-09-20 | 昆虫

9月18日(月)。午前7時30分。産付後,4日17時間経過。殻をとおして見えるからだが,ずいぶんはっきりしてきました。びっくりしたことに,一つの卵にもう寄生バチがいたことです。ほんとうに敏感! 生まれ来る幼虫に被害はなかったのでしょうか。

頭部は褐色。

 

頭部の様子がおおまかに想像できます。 

 

すこし上から見てみました。顎のかたちもくっきり。

 

同時に産み付けられた卵なので,様子はそっくりです。 

 

殻とからだの間には,液体があることがわかります。これなら滑らかに動けるでしょう。呼吸はどんなふうに行っているのでしょうか。 

 

たぶん,今日あたりに誕生するのではないでしょうか。目が離せません。 

 


ジャノメチョウの産卵(続)

2017-09-19 | 昆虫

9月15日(金)。中心からやや右上に,わずかに黒っぽい斑点が見えます。

 

横から見ても変化は感じられません。

 

9月16日(土)。3個の卵とも変化が見られます。からだが着実にかたちづくられているようです。

この卵では側単眼と思われる部分が見えています。対になっています。

 

 

斑模様がはっきりしてきました。

 

 

9月17日(日)。産付後,3日18時間が経過。斑模様がさらにはっきりしていました。

 

対称図形を思わせるのは,やはり側単眼だからでしょう。

 

これからの変化がたのしみです。

 

午後3時30分。産卵後,ちょうど4日が経過。3個の卵とも中の様子が想像できるまでになってきました。側単眼の間に顎が見えます。頭部にはたくさんの線があります。

  

 


アカタテハの卵,その孵化(6)

2017-09-18 | アカタテハ

アカタテハは,本ブログのカテゴリー中最初に位置するものです。それだけにわたしにはとても愛着があります。

以後,アカタテハの孵化が続きました。2例を,それぞれ3枚の画像でご紹介します。

1例目。頭を突き出しました。細部まで画像に写っています。

 

 

胸脚が出て来て,身を乗り出した瞬間。 

 

 

からだがわずかに卵に残っています。こちら向きに出て来るのは撮影環境からいえばラッキーです。

 

 

2例目。縦画像で撮りました。ほぼ頂部を開け終わったときです。

 

 

頭を出しました。上に向かってからだを伸ばすことが予想されました。

 

 

その後,からだを前方向に曲げて出て行きました。

 

 

誕生シーンはいつも感動的です。 

 


超接写がたのしい秋(1) ~アリとコニシキソウ~

2017-09-17 | 昆虫

ずっと前にこのタイトルで記事を書いたことがあります。したがって,今回は写真版として記事アップをします。

秋。我が家に庭にて。コニシキソウが生えていて,雌花の子房が膨らんでいます。見ると,アリとアブラムシがいました。アリは雄花・雌花の付け根から滲み出す蜜を求めて訪れたのです。さらにうれしいことに,アブラムシからも蜜が得られます。 

 

雄花の長さは0.5mm。この先にある花粉がアリの頭部や脚に付着して,別の花に運ばれます(下写真)。コニシキソウは自家受粉もしますが,アリの助けで他家受粉もします。他家受粉は多様な遺伝子を残すのに好都合なのです。

 

写真で雌雄の花が写っています。

 

雄花に脚をのせています。 

 

雄花の蜜を探しているのでしょうか。 

 

役目を終えた雄花にいるアブラムシ。そこにアリがやって来ました。

 

左側のアリがアブラムシから蜜を受け取っています。 

 

アブラムシに関心を示しています。

 

そうして,近づいて行きました。 

 

足元の自然をこんなふうに見ていくと,知らないことがいっぱい。 

 


アカタテハの卵,ふしぎ例

2017-09-17 | アカタテハ

先日,ルリタテハの空洞卵をご紹介しました。今度は,アカタテハでその例を目撃することになりました。それにしてもふしぎな例です。

 

頂部に穴は見当たりません。

 

真上から見ても,穴が開いた形跡はありません。

 

なのに,中は空っぽ。つまり,卵内部にあったはずの成分が消えてなくなったということです。その成分は液体状だったでしょう。それが気化して,殻表面の極小の穴からすこしずつ出て行ってしまったのでしょうか。

中が真っ黒になって,結局孵化しなかったという例はずいぶんあります。しかし,これは真逆。まあ,なんとも訳のわからない事態が起こりうるものです。 

 


アカタテハの卵,その孵化(5)

2017-09-16 | アカタテハ

9月12日(火)。一つ孵化(第一号!)。しかし,見逃しました。

9月13日(水)。孵化第二号! わたしにとっては今秋,初めての観察事例となりました。午後1時のこと。昼間にこうした場面を観察・撮影できるのは文句なしにありがことです。ご紹介する写真はトリミングなしです。

まずは,この卵の朝の様子です。いまにも出て来そうな。

 

午後1時になりました。頂部に穴が! 視野は左右幅2mmです。

 

やがて,穴は頭部が出るほどになりました。

 

 

スルスルッと出始めました。

 

 

こちらに出て来てほしいのに,「あ~あ」。

 

 

横を向きました。「このチャンスを逃しちゃ,ね 」という気持ちでパチリ。

 

 

向こうに向かって出て行きました。

 

 

誕生した幼虫がどちらに向かうか,それは読み切れません。

どうあれ,一コマだけはきっちり画像を残しておきたいと思いつつじっと見つめていました。 

 


ルリタテハの卵,ふしぎ例

2017-09-15 | ルリタテハ

サルトリイバラの葉に産付されたルリタテハの卵を見ていたときのこと。ふしぎな例を発見しました。かたちは完全なのに,中身がほとんどなし。というか,からだの名残りがちょっとだけあって,他はすっぽりなくなっているのです。どんな状況でそうなったのか,謎です。

 

 

上部に穴はありません。

 

 

しっかり閉じています。なにも出て行った気配がありません。なのに,空っぽ状態なのです。 

 

 

よく似た例を,サルトリイバラでも一つ見ました。

 

 

事情はまったくわかりません。真相は不明です。

この例からいえるのは,卵の段階でもいのちが絶える個体がいくつもあるという点です。自然の厳しさを感じます。 

 


ヤマトシジミ,また孵化

2017-09-15 | ヤマトシジミ

草引き作業中に採取していたヤマトシジミの卵に黒い影が現れ,どうやら「孵化近し」の兆候。もちろん可能な限り観察・撮影を続行します。

深夜になりました。ふと見ると,穴が開けられていました。これはチャンス!

 

誕生までの経過ははっきりしているので,ゆとりをもって観察できます。

 

蓋部分を切り終わると,おもむろに頭を上げます。

 

見ていると,「さあ,出るとするか」なんて腰を上げる感じです。 

 

ぐうっとからだを起こします。 

 

からだをUの字に曲げて,尾端まですっかり出します。 

 

この個体は,稀な例でじばらく卵殻を食べていました。 

 

展開はどのヤマトシジミの卵とも同じです。読みができるといいますか,次の動きが見えるので撮影は楽です。

せっかくなので誕生した幼虫の一部を飼育することにしました。 

ヤマトシジミの生態はどこででも触れることができます。とても身近なので,観察例としては最適です。 

 


地域ミュージアムで考える(70)

2017-09-14 | 随想

アンケートによる外部評価で,とてもたいせつなのは自由記述欄だと改めて感じています。この欄は主観が反映されるため扱いがむずかしいのですが,わたしたちの姿勢や気づかないマイナス部分の指摘がチクリとなされることで大いに役立ちます。指摘点を積極的に生かしていかなくてはなりません。ただし,妥当性があり,合点できる範囲内の話です。

 

日頃から手作りを大事にした展示に心掛けているところですが,逆にその裏舞台が見えていて整理づいていないという指摘例。玄関周辺の,狭い空間に詰め込んだ印象を与えた掲示物の例。飼育中の生きものの餌を取り替えていないという指摘例。

それらは一つひとつもっともな指摘であり,来館者はよくご覧になっているなあと,わたしは納得できました。なかには直接わたしが責任を持って対応しておかなくてはならない事項もあります。痛い点をチクリと教えていただいた思いがしています。

そこからは,わたしたちの脇の甘さが見えてきます。もしそうすることで波風が立つような職場なら,古い体質を引きずっている証拠。わたしは,学校という職場でその経験を十分にしてきました。とりわけ,ベテラン職員の保身の弁,言い換えると言い訳です。 

来館者本位のサービスを考えるというのはそうした自分勝手な解釈を超えて,来館者の目線に立つということです。独りよがりの判断はいつも曲がったままです。先日,そのことをわたしは職員に伝えて,書かれた文言について簡単に感想を述べました。

 

なかにはこんな方もあります。アンケートはパンフレットに挿入し,提出自由というスタイルです。そのアンケートを出し忘れたというので,律義にもわざわざ郵送でお届けいただいた方がお一人。しかも,隣県から。恐縮です。自由記述欄にはこうありました。

「今回,様々な施設に行った中で,ここが一番面白かった」

ここで引用することは手前みそのようにも思えるのですが,郵送で送付した行為の丁寧さと重みを素直に受けとめてよいのではない思い,敢えてそうしました。

日頃から外の目で点検すること,そしてできるだけ自分の内にも外の目視点を醸成することがいかにたいせつか,よくわかります。それは,世阿弥の教え『離見の見』にもつながっていきます。

 


アカタテハの卵,その孵化(4)

2017-09-13 | アカタテハ

9月11日(月)。なんとか孵化を撮影したくて,野外に自生するカラムシで卵を探しました。場所は自宅脇の道路斜面。茎先で,幼虫が葉を綴って巣にしているのが見つかりかけました。「しめた! これなら卵はあるはず」と期待感が湧いてきます。しばらくして一つ目が見つかりました。そのあと,次々と。ありがたい,ありがたい。

 

 

そのうち何本かを採集して持ち帰り,水に挿しておくことに。

この卵は中が混とんとした感じ。組織がつくられていっていることでしょう。卵の高さは0.6mmです。

 

かなり組織ができてきた感じの卵。

 

同じ卵をちがった方向から写しました。

 

頭部も毛もできてきた卵です。孵化近し!

 

下の写真は夜に撮りました。明日生まれるでしょう。

 

卵が多いと,いろんな段階のものが見られる可能性があります。これで,孵化を撮影したいという願いが叶いそうです。