徒然なる日々からの歳時記

徒然なるままに日々の歳時・興味を綴っております。

始まりの地は現在

2006年11月14日 | ちょっといいとこ,いい景色
高知県檮原町,愛媛県との県境,四万十川の源流近くに位置する山村。標高220~1455m,町全体の9割を森林が占める。

今から15年前,この町で始まり,全国に広がった取り組みがある。「棚田オーナー制度」,都市住民などの参画を得て,棚田を守って行こうという取り組みである。棚田を有する市町村や,団体,個人等が一堂に会し,棚田の保全・継承のあり方について考えていく「棚田サミット」という催しも12年前,この町から始まった。

先日の高知訪問時に「始まりの地」を訪ねてきた。

「神在居(かんざいこ)の千枚田」

作家の司馬遼太郎は,85年の秋,檮原を訪れ,著書「街道を行く」の中で,「千年来,檮原の山々にきざみつけてきた先人の営みはこの田が証している」と書いた。

「この田」を条件の悪い農地や水田としてではなく,「棚田」として守っていこうという試みから,今日の全国的な棚田保全の取り組みが始まったといっても過言ではない。

受け入れ農家の高齢化,新規オーナーの減少,オーナー制度の継続の前に大きな課題が横たわり,「始まりの地」も転機を迎えようとしている。

追記:
檮原町のあちこちで見かけた小さな茅葺きの小屋。「茶堂」と呼ばれ,昭和30年代ごろまでは,夏の間,町民たちが持ち回りでお茶番を担当し,そこを通る人なら顔見知りであろうと,遠方からきた旅行者であろうと,誰彼なしにお茶を出しもてなしていたという。決して交通の便が良い訳ではない山村に,多くの観光客が訪れるのは,檮原のもてなしの文化が,今もしっかり息づいているからでは?と感じました。
コメント (1)
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