関空の2期空港島でバッタ大発生という記事を見つけた。
この8月に供用開始予定の第2滑走路の周辺に数百万匹のトノサマバッタが発生しているそうである。航空機のエンジンに吸い込まれたら事故の原因になると,農薬を使った大規模な駆除が始まっているらしい・・・。
そりゃ大変なこって・・・といった感じの緩いニュースですが,記事の写真に興味を持って,少し調べてみました。
何に興味を持ったのかというと,トノサマバッタの色,子供の頃,実家の周りで捕まえていたトノサマバッタは明るい緑色だったのですが,今回,空港島で大発生しているバッタの体色は,赤茶色から黒に近い色。どちらも同じトノサマバッタなのですが,その特徴は大きく異なります。
こうした同じ種類の動物(主に昆虫)が,生活条件(特に個体群密度)の変化によって,異なった個体の形態,性質,行動を生じさせることを「相変異」といいます。
ちなみにトノサマバッタの場合,幼虫が低密度で生息している場合は,緑色をした「孤独相」という普通の成虫になるが,幼虫が高密度で生息している場合は,体色の黒い「群生相」という成虫に変化します。
群生相の成虫は,孤独相の成虫に比べて,後脚が短く,翅が長く,スマートな体型をしており,高い飛翔能力(移動能力)を有しています。また,孤独相の成虫は単独生活を行うのに対して,群生相の成虫は,集団行動するようになります。
映画やアフリカなどの砂漠化のニュースに出てくる極めて多数のバッタが群れをなして飛来し,あらゆる植物を食い尽くしながら移動する現象(この現象のことを「飛蝗」という)は,まさにこの群生相のバッタたちの大発生という訳です。でもって,今回,空港島で大発生しているトノサマバッタも同じという訳です(うかうかしていると大阪に飛蝗が襲来してしまうという訳です)。
こうした相変異の特徴は,バッタ以外にも昆虫を中心によく見られるそうで,環境が個体の性質を大きく変化させる例としてよく引き合いに出されます。
人間様も満員電車や渋谷のスクランブル交差点など個体群密度が極めて高い環境にさらされ続けていると,「群生相」に変化してしまうのかも・・・?と思いながら,蒸し蒸しと暑い田んぼの中を自転車で職場に通う「孤独相」生活を送る今日この頃です。