『トロイからの落人』 FUGITIVES FROM TROY 第７章 築砦 １１５

　パリヌルスら三人は木板に見いった。
　彼らは、即、納得した。ざ～っと描かれた構図である。各々の関係が一目瞭然、即、理解できる。口で説明するより、説得スピード、理解スピード、納得スピードが速い。パリヌルスが口を開いた。
　『おうっ、これは判りやすい。軍団長、私は、ＯＫです。判りました。それで具体的に何を構想するかを話し合っておこうではありませんか』
　『私もＯＫです。パリヌルスの言う構想を話し合いましょう』
　オキテスもオロンテスもパリヌルスに同調した。
　『軍団長。お前のやることにそつがない。判りやすい。会議がとんとん拍子で進んでいく、見ていて聞いていて気持ちがいい』
　アヱネアスが感嘆の言葉を吐いた。イリオネスは、会議を進めていく。
　『君たち、聞いてくれ。我々のやっていることが、今、ここまで進行している、各自が構想することは極めて具体性を持った計画の構想である。いつ、何を、どこで、どれだけ、どのようにだ。君たちに考えてもらうのは、実行計画である。構想のための構想計画、これは『ＮＯ！』だ。判ったな。具体的実行計画を練り上げてくれ。そのために今日、明日、明後日と三日間も時間を見てある。その間に発生する雑用、行事、これをないがしろにすることは許さんからな。いいな、判ったな』
　イリオネスはくどいと思われるくらいに念を押した。
　目線が合う、うなづき交わす、イリオネスは話し続けた。
　『ところでだ。これは打ち合わせておきたい、この話は互いに知っておく必要がある、そのように思っていることがあれば話してくれ』
　『軍団長、今、打ち合わせたこと、各自が責任担当する分野の事前調査が大切です。各担当が『これから』を見誤らないようにしなければなりません。それを踏まえて計画を練り上げようではありませんか』