『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  123

2013-10-14 07:01:52 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 二人は、話しながら歩んでいる、立ち止まり、小島とその周辺の海を眺めた。連れ立っている者たちも二人の会話を小耳にはさみながら、小島のある風景に目をとめた。
 軍団長の許へ従卒が駆け寄ってくる、伝言を受ける。
 『ハニタス浜頭と土豪の頭が、判った。俺たちは、広場に戻る。皆さんに少々待ってもらってくれ。あ~あ、それからだな、今日、予定している小宴の事だが、場を整えるように伝えてくれ』
 『はい、そのこと、小宴の場づくりはもう始まっています』
 『ほうっ!そうか。それなら、それでいい』
 間をおかずに彼ら一行は広場に戻ってきた。軍団長が進み出て、ハニタス浜頭、ガリダ頭、その一行を迎えた。
 『お~お、軍団長殿、このたびの快挙よろしかったですな。私どもまさかと思いました。まさに寝耳に水ではないですか、驚きの一語です。話の真偽を確かめるのに少々手間取りました。それが事実であると判り、心からの驚きと感激です。謹んでおめでとうを言わせてもらいます』
 土豪の親分に似せない丁寧な口上であった。
 アヱネアスとガリダが顔を合わせる、言葉を交わすことなくしっかと手を握り合った。
 『ガリダ殿、今日の来訪ありがとう。心から礼を言います』
 『このたびの快挙、おめでとうございます』
 ハニタスも言葉をかけて来た。
 『アヱネアス統領、海賊一掃の快挙おめでとうございます。これだけでは言葉が足りませんが、謹んで心からお祝い申し上げます。そして、この地に移られたこと私ども大歓迎です。これはお互いの喜び事だと思っています』
 ハニタスの言葉は、トロイの民に対する歓迎の言葉と受け取った。
 『いろいろとありがとう。ご両人、今日は、ささやかですが小宴をと思っています。どうぞご一緒ください』
 『そうですか、それはそれは、喜んで馳走になります』