パリヌルスは、作業の一段落を見てホット一息というところである。彼は小島に目をやり、目線をゆっくりと東の方角へと移していく、この季節に吹く西風がやや強い、陽は輝き、海は落ち着いていた。
小島の海賊を強襲してから今日が三日目である、興奮が収まり、気持ちが落ち着いてきていた。
『冴えた猛々しさ、そして、一歩前への沈着な意志力、これが俺に、いい仕事をさせる』
パリヌルスは、独り言ちて、あの時の仕事の遂行と結果を振り返った。
ゆっくりと目線を東のほうへと移していく、彼の視野の中に中型の漁船2隻が飛び込んできた。漁船はまだ遠くにいる、そのほかにも魚を漁っている漁船が数隻いるが、波を割ってこちらに向かってくる漁船は、この2隻だけである。彼は、目を凝らしてこれを見つめた。
今、この近辺にパリヌルスたちに抗する者たちの存在は考えられない。『奴らは何者ぞ?』と目を見張った。彼はいぶかる目線で船に目をやっていた。
パリヌルスのこの一週間は多忙の極みであったのだ。
船は指呼の距離までに近づいていた。見たことのある風体の男が舳先にいる。何かをわめいている、声は風に飛んで聞き取れない。彼は、やっとのことで気づき思い出した。浜頭のスダヌスたちのことを思い出した。
『ああっ!奴は、スダヌス!』
風に吹きちぎられる、あのダミ声がやっと届いてきた。彼は手を振っている、パリヌルスも諸手を振って答えた。間もおかず、彼の船が眼前に迫った。浜に乗り上げる、スダヌスが飛び降りる、パリヌルスに駆け寄る、二人は、ヒッシと抱き合った。
二人は同時に声をあげ呼び合った。
『おうっ、パリヌルス!』
『おうっ、スダヌス!』
二人は顔を見合わせる、目線が合う、再びしっかりと互いを抱きしめた。
小島の海賊を強襲してから今日が三日目である、興奮が収まり、気持ちが落ち着いてきていた。
『冴えた猛々しさ、そして、一歩前への沈着な意志力、これが俺に、いい仕事をさせる』
パリヌルスは、独り言ちて、あの時の仕事の遂行と結果を振り返った。
ゆっくりと目線を東のほうへと移していく、彼の視野の中に中型の漁船2隻が飛び込んできた。漁船はまだ遠くにいる、そのほかにも魚を漁っている漁船が数隻いるが、波を割ってこちらに向かってくる漁船は、この2隻だけである。彼は、目を凝らしてこれを見つめた。
今、この近辺にパリヌルスたちに抗する者たちの存在は考えられない。『奴らは何者ぞ?』と目を見張った。彼はいぶかる目線で船に目をやっていた。
パリヌルスのこの一週間は多忙の極みであったのだ。
船は指呼の距離までに近づいていた。見たことのある風体の男が舳先にいる。何かをわめいている、声は風に飛んで聞き取れない。彼は、やっとのことで気づき思い出した。浜頭のスダヌスたちのことを思い出した。
『ああっ!奴は、スダヌス!』
風に吹きちぎられる、あのダミ声がやっと届いてきた。彼は手を振っている、パリヌルスも諸手を振って答えた。間もおかず、彼の船が眼前に迫った。浜に乗り上げる、スダヌスが飛び降りる、パリヌルスに駆け寄る、二人は、ヒッシと抱き合った。
二人は同時に声をあげ呼び合った。
『おうっ、パリヌルス!』
『おうっ、スダヌス!』
二人は顔を見合わせる、目線が合う、再びしっかりと互いを抱きしめた。