つるべ落としの初冬の夕陽は、その身を沈め、西の空にかすかに茜の残映を残している。空からは十六夜の月が澄んだ光を落とし始めていた。
賑わいの宴の場は、宵闇のとばりがつつみ始めていた。
アヱネアスの周りでは、浜頭連と土豪の頭ガリダも加わって、話に花が咲いている。スダヌスは、何かを待っている『おそい、おそい』と舌打ちをしながら待ちかねているものがあるらしい。彼は、オロンテスに声をかけようと思い、辺りを見回すが目当てのオロンテスの姿が目に入ってこない。イラついた風情ではない。酒に酔った目で見まわしながらオロンテスを探した。
彼はたまりかねてイリオネスに声をかけた。
『軍団長!オロンテスどのの姿が見えませんな。あれはまだですかいな。アレですよ、アレです』
イリオネスは、スダヌスの『アレです』を耳にして思案した。
『アレとは何かいな』彼もけっこう酒に酔っている、酔った頭で考えたが思い浮かばない。
『スダヌス浜頭、アレとは何ですかいな』
話し合う二人の言葉ずかいも危なっかしい。
『軍団長、アレですよ。じれったいなあれがわかりませんかいな。アレで酒を飲むのが、めちゃくちゃにうまいのですよ。判らんかな、アレですよ』
スダヌスもアレとしか言わない。
オロンテスが姿を現した。
『ややっ!皆さん、お待たせ、お待たせ、お待たせしましたな』
スダヌスは、この声を聞いて『待った!待った!』と声をかけながら、オロンテスに歩み寄った。
『ややっ!オロンテスどの、待っていましたぞ、待っていましたぞ』
スダヌスもしたたか酔っぱらって、舌をもつれさせて話しかけている。イリオネスも彼が口にした『アレ』について判っていたが、酔いに任せてとぼけていた。
スダヌスが大声をあげた。
『おおっ!これは感動!大感動だ。焼きあがったばかりじゃないか。パンが温くといのう、熱い!』
彼は言いながら、オロンテスから焼きあがったばかりのパンを受け取った。彼はそのでっかいパンを両手で高く差し上げた。
『おい!スダヌス!お前の待っていたのは、その『パン』か。どれ、どれ』
ダルトン浜頭がスダヌスに寄ってきて、合点したように声をかけた。
賑わいの宴の場は、宵闇のとばりがつつみ始めていた。
アヱネアスの周りでは、浜頭連と土豪の頭ガリダも加わって、話に花が咲いている。スダヌスは、何かを待っている『おそい、おそい』と舌打ちをしながら待ちかねているものがあるらしい。彼は、オロンテスに声をかけようと思い、辺りを見回すが目当てのオロンテスの姿が目に入ってこない。イラついた風情ではない。酒に酔った目で見まわしながらオロンテスを探した。
彼はたまりかねてイリオネスに声をかけた。
『軍団長!オロンテスどのの姿が見えませんな。あれはまだですかいな。アレですよ、アレです』
イリオネスは、スダヌスの『アレです』を耳にして思案した。
『アレとは何かいな』彼もけっこう酒に酔っている、酔った頭で考えたが思い浮かばない。
『スダヌス浜頭、アレとは何ですかいな』
話し合う二人の言葉ずかいも危なっかしい。
『軍団長、アレですよ。じれったいなあれがわかりませんかいな。アレで酒を飲むのが、めちゃくちゃにうまいのですよ。判らんかな、アレですよ』
スダヌスもアレとしか言わない。
オロンテスが姿を現した。
『ややっ!皆さん、お待たせ、お待たせ、お待たせしましたな』
スダヌスは、この声を聞いて『待った!待った!』と声をかけながら、オロンテスに歩み寄った。
『ややっ!オロンテスどの、待っていましたぞ、待っていましたぞ』
スダヌスもしたたか酔っぱらって、舌をもつれさせて話しかけている。イリオネスも彼が口にした『アレ』について判っていたが、酔いに任せてとぼけていた。
スダヌスが大声をあげた。
『おおっ!これは感動!大感動だ。焼きあがったばかりじゃないか。パンが温くといのう、熱い!』
彼は言いながら、オロンテスから焼きあがったばかりのパンを受け取った。彼はそのでっかいパンを両手で高く差し上げた。
『おい!スダヌス!お前の待っていたのは、その『パン』か。どれ、どれ』
ダルトン浜頭がスダヌスに寄ってきて、合点したように声をかけた。