『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  116

2013-10-03 08:20:17 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 『おう、よく言ってくれた、パリヌルス。お前の言うとおりだ。一同、心して事にあたろう。では、打ち合わせを終わる。統領から何かひと言ありますか』
 『いや、ない。今日、ハニタスとガリダが来る、君たちも同席すること。今の俺たちには密室形態の打合せはない』
 オキテスが口を開いた。
 『おう、いい時間ではないか。腹が減ったと虫の知らせだ』
 『今日の食事計画ですが、軍団長と打ち合わせてありますが、昼は軽めで、夕食時間は早めて小宴を計画しています。皆さんよろしいですね』
 『それはいい、大歓迎!皆が喜ぶ』
 『オロンテス、何か手伝うことがあれば行ってくれ。オキテスは忙しいだろうが、俺は手すきだ』
 『皆さん、今、言った通りです。時間に合わせた仕事運びで頼みますよ』
 『判った。判った』
 『あ~あ、パリヌルス隊長、頼みたいことがあります。このこと、小島にいるアレテス隊長に伝えてもらえませんか』
 『判った。心得た。昼めしも一緒に届ける』
 打ち合わせに集ったこの民族内のほんのひと握りの男たちが、研ぎ澄まされたベクトルの矢の先となって、一族を率いていく、そのベクトルが残していく航跡が鮮やかでありたいとアヱネアスは願った。
 彼らは、持っている知力、体力、意志力の全てをつぎ込んで、一国に構図を描いていく姿がそこにあった。
 この時代を支え、生きていく人間たちの思考バランスが描いた目標の実現に絶妙の意思バランスで挑む姿がそこに存在した。現代の私たちが所有している均整のとれた思考バランス、意思バランスと比べることのできない不均衡なバランスで形成されていたのではなかろうかと推察されるのである。