ブラック・スワン (Black Swan 、2010米、108分)
監督:ダーレン・アロノフスキー
ナタリー・ポートマン(ニナ)、ヴァンサン・カッセル(トーマス)、ミラ・クニス(リリー)、バーバラ―・ハーシー(エリカ、ニナの母親)、ウィノナ・ライダー(べス)
新しい振付の「白鳥の湖」、その白鳥と黒鳥二役での起用オーディションで受かった新人ニナ、しかし潔癖症(特に性的な面で)のニナはなかなか入っていけず、振付師トーマスからかなり激しい扱いを受ける。何とかしようとするが、一方バレエで一流になれなかった母親が常に監視しつきまとい、それをなかなか振り払えない。しかし同僚の誘惑など、無理して試行しているうちに事件が次々に起こり、ニナの幻想も昂じていく。ここのところは映像でもどちらかよくわからない部分が最後まで残る。
そう変わったプロットではないのだが、バレエという魅力的な素材の世界で、監督がどうしたいのか、最後までわからない。ハッピーエンドでも、悲劇でもそれはどちらでもいいのだが。
こういう題材で、主人公の性格と重なるポートマンが演じるとどうなるか、かなり下品な想像も含めて製作側の魂胆はわかるけど、それが必ずしも成功していないのではないか。同じポートマンでもジュリア・ロバーツとやった「クローサー」(2004)のほうがまだ納得がいく。
そしてチャイコフスキーの音楽の使い方と音質もそれほどでないし、バレエに対するカメラももっと魅力的にできたのではないか、と残念である。
ナタリー・ポートマン、これでオスカー、よほど運がいい人である。当然とっていい人でも、運がなく、ということは数多ある。もっとも、取れる時に取ってしまうほうが、その後楽にできていいことはいいのだが。
他の人たち(俳優)は皆うまくはまっている。