本蔵院 律良日記

熊本県にあるお寺“真言宗 本蔵院 律良のブログ”日々感じるままに活動のご報告や独り言などを書いた日記を公開しています。

今週の言葉 3/16~3/22

2009-03-15 22:32:53 | 今週の言葉
  人の短を言うこと無かれ

          己の長を説くこと無かれ

                                 弘法大師


         「 人の悪口を言うな  自分の自慢をするな 」


 弘法大師の座右の銘としてよく知られた言葉です。

高野山にお参りしたおりとかに、記念品として、

弘法大師の書として、短冊に書いたものを頂きます。


 当たり前のことなんですが、

私たちがしていることはその反対のことです。

 人の悪口は面白いし、自分の自慢はしたいものです。

祝辞とかでは、よくそのことを感じます。

ご本人のことを褒めるのですが、

そういうご本人にしたのは私ですよ、と言わんばかりに、

自分の自慢話が出てきます。


 しかし、逆説的というか、人間の深い所を突いているというか、

ある先生は 

 『 人の悪口ほど面白いものは無い、

    人生の生き甲斐やね !

      人の悪口も言えんほど、自分をかばうのか ! 』

とも、おっしゃっておられました。また、

 『 明るく、堂々と、悪口を言え ! 』


 あの人は絶対に人の悪口をいわない立派な人ですね  

一面にはそうです。

 しかし、そういう人に限って、自分の悪口を言われると、

青筋を立てて、むきになってとてもご立腹なさるのです。 


 よくよく考えてみると、

『 悪口 』 ( 人の短所 ) が分かるということは

自分にも同じものがあるからなのです。

 自分の持っている煩悩 ( 短所 ) は分からないものです。

反対に、人の煩悩 ( 短所 ) は手に取るように分かります。


 『 明るく悪口を言え 』  ということは、

同じものを持っている、( 悪口を言われるような )

お互いさまではないか。

 だから、

  「 よくぞ私の短所を言い当ててくれてありがとう。 」 

 と、明るく受け取るべきことなのでしょう。


  でも言われると     なのですが?


 お互いに悪口しか言われないような、

 自分であるということを踏まえたうえで、


  『 人の短を言うこと無かれ、己の長を説くこと無かれ 』 


 なのです。 


 今振り返ると、師匠からは23年間一度も褒められたことはありませんでした。

それは、人間に対する大きな 『 痛み 』 というか

『 悲しみ 』 というか

 ( 同じものを持っている )

だから、怠けるな、頑張れ!

という、叫びのようにも、今は感じるのです。
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