本蔵院 律良日記

熊本県にあるお寺“真言宗 本蔵院 律良のブログ”日々感じるままに活動のご報告や独り言などを書いた日記を公開しています。

「祈りのかたち」

2012-04-12 22:16:12 | 住職の活動日記
 いま、熊本日日新聞で連載されています、

『 祈りのかたち 』 

普段目にすることのない仏像が紹介されています。

たまたま、四月八日 お釈迦さまのお誕生日に紹介されたのが、

当院が兼務している、八代の 『 安楽院 』 のご本尊

「 薬師如来 」 です。



     



 もう、見るからに破損が激しく、かろうじてその仏様のお姿を

留めています。

 新聞の紹介です。

   安楽院の本尊薬師如来は、樟材を用いた一木造。樟材を用いることから

  地方の仏師と考えられるが、円満相好で穏やかな顔つきやふくよかな体躯は、

  平等院鳳凰堂の本尊阿弥陀如来を製作した仏師・定朝(じょうちょう)が

  生み出した様式に共通する。

  平安時代後期の貴族好みの美意識が全国を風靡していたことがわかる。

  なお、本尊は50年に一度だけ開帳される秘仏で、次の開帳は2044年。

     ( 八代市立博物館学芸員・石原浩 )


というように書いてあります。


 春秋の大祭のときにお参りにまいります。

毎日は地元の方々の手によって大切に守られています。

この近くの公民館には、昔から続いていたであろう

「 雨乞いの棒踊り 」 の写真が飾ってあります。

平安時代は圧倒的に、ご本尊は 「 薬師如来 」 が多いのです。

 ( ちなみに、東寺のご本尊も薬師如来です。)

廃仏毀釈もあり、井戸に沈められたりして、

何とかそのお姿を留めています。

それこそ、この地の人たちの篤き祈りの賜物でしょう。 

 約1000年の歳月、今の姿になりながらも

この地の人たちを見守り続けてこられたのです。

それこそ 「 祈りのかたち 」 です。


 この姿になられた、ということが

秘仏としなければならなかったのかもしれません。

しかし、確かにいらっしゃる、その確認のためにも

50年に一度の開帳としたのでしょう。

 崩れかけた姿をさらすということは、

ややもすると、その信仰を失ってしまうという

可能性もはらんでいます。


 これからも、ずっとこの地の方々の安らかな安泰を願い続けて

いらっしゃることでしょう。


 また、九月にはお参りによせていただきます。  





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