本蔵院 律良日記

熊本県にあるお寺“真言宗 本蔵院 律良のブログ”日々感じるままに活動のご報告や独り言などを書いた日記を公開しています。

騙してもいけない! 騙されてもいけない!

2015-07-18 21:46:15 | 住職の活動日記

戦艦陸奥、謎の爆発で沈没、

そのことは当時、絶対の秘密で、

一切知らされなかったそうです。

そのことを知る人がいまだ生きておられる。

印象深かった一言は、

「騙されたというのは、

自分たちの責任でもある。

これからは、注意深く見て、

騙されないように知る必要がある」

ということです。

 

ふと、頭に浮かんできたのですが

「騙す」という字は馬偏です。

なぜだろうと、??

辞書を引いて

もそう深い意味はないようです。

だます意になるのは、

扁が変に通じて、口裏を変える

ところからのようです。

馬が付いていることは

それなりの意味はないようです。

 

むかし、バーブ佐竹という人の歌で

「女心の唄」というのがありました。

何かしら好きな歌で、

1.あなただけはと信じつつ

  恋におぼれてしまったの

  …

2.どうせ私をだますなら

  だまし続けて欲しかった

  酔っている夜は痛まぬが

  さめてなおます胸の傷

と続きますが、

どことなしか私たちの心を

言い当てているようで、

 

「悟りたい!」という声を

耳にしますが、

本当はそうではなく、

上手にだまして欲しい

それも覚めないように、

ということではないでしょうか?

醒めてしまうと胸の傷が痛むのです。

 

言い当てていて妙ですが

一休さんが

「釈迦といういたずら者が世に出でて

多くの者を迷わするかな」

と詠んでおられます。

ほどほどのところで自分の

煩悩を楽しんでいたのに

目の覚めるような本当のことは

言わないでくれ、

私たちは差し迫っている問題を

少しでも先延ばしできるような

上手に煩悩をくすぐらせてくれる

そういうことが欲しいのです。

 

だまされているとは

気がつかないように

騙されていたい、と

そういうことを望んでいるのでしょう。

 

しかし、見るべき時には

確と見る勇気と決断が

必要です。

自分の内面においても然り、

また、世間の問題もそうです。

これからはいろんな情報操作も

あるでしょう。

騙されたと悔やむより、

騙されるのはこちらにも

同じ心があるからです。

本当のことを見抜いていく目を

養わなければいけないのでは…

 

そういうことをふと思いました。

 

 

 

 

 

コメント
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