本蔵院 律良日記

熊本県にあるお寺“真言宗 本蔵院 律良のブログ”日々感じるままに活動のご報告や独り言などを書いた日記を公開しています。

北向き不動

2017-12-20 20:25:29 | 住職の活動日記

今年の漢字一文字は

「北」になりました。

当院のお不動さまも北向き不動尊

といわれています。

 

「北」という字は

ヒ(ひ)部に入る文字で

この部類に入る文字は

化という字と北と匙の三つしか

ありません。

「北」という字は

人が背中を向けあっているさま。

それで、「そむく」という意味が

でてきたようです。

中国では家は南向きに作るので

それに背く方角ということで

北という字ができたということです

 

北が付く言葉で思いつくのは

「北面の武士」

もともとは天子南面して座す

というように、

その天子に対して北を向いて

座ったところからでてきたのが

日本では白河法皇が上皇の身辺警護

のために作ったのが

北面の武士といわれています。

 

世の無常を感じて26歳で出家した

西行法師も佐藤義清といって

鳥羽上皇に仕えた北面の武士でした

同じころ

袈裟御前に横恋慕して

誤って殺してしまい

自分の罪を不深く感じて出家した

文覚上人も遠藤盛遠といって

やはり北面の武士です。

 

また、

「北の政所」ということも聞きます

特に、秀吉の妻「ねね」高台院は

有名です。

正妻のことを「北の方」と

いったところから

北の政所といったのでしょう。

 

方角も普通は東西南北といいますが

順番的には東南西北となります。

一日をみても

東から日が登り南の天頂へ行き

西の夕日で日が沈み夜の北になる

北とは一日の安らぐ落ち着く所を

意味すのではないでしょうか

 

また、東北角は鬼門といって

とても大切な場所にもなります。

 

 

御所の東角も鬼門のところは

角を欠いてあるのです

 

 

角を取ることによって

鬼門を避けることにしたのです。

あまり方角の事とかいわない

東西本願寺さんでも

鬼門のところはこういう風に

なっているようです。

 

むかし、よくお参りの方から

こんな話を聞きました。

「北向きの仏さんはお力が強い」

と、

私もどういう訳か

北向きに縁がって  … !?

といって、

私に力があるわけではないのですが

東寺にいた頃は御影堂にいて

その弘法大師は「北面大師」と

いって、御所をお守りするため

北向きに安置してあります。

寝殿造りの板張りの床は

冷え冷えとして身体に堪えました。

 

熊本に帰ると

本蔵院も「北向き不動尊」と

やはり北向きです

誰もいない南側はぽかぽかと温かく

お参りする本堂は北向きで

本当に冷え冷えとしています。

 

よくよく考えて見れば

家は南向きに作る方が住みやすく

北向きに作ると

夏はむんむんと蒸し暑く

冬は冬で寒々としている

ということは

そこに居ること自体が修行

ということなのでしょう。

そういうところから、昔の人は

北向きのお不動さまお力が強い

と言ったのでしょう。

 

「北」という字は

漢字自体は背くとか逃げる

といってあまりいい意味は

ないようですが、

色々な意味で今年は北という字が

選ばれたのでしょう。

しかしまた、

色々な意味合いを持った字でも

あるようです。

 

 

 

 

 

コメント
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