本蔵院 律良日記

熊本県にあるお寺“真言宗 本蔵院 律良のブログ”日々感じるままに活動のご報告や独り言などを書いた日記を公開しています。

苦と若

2018-05-07 20:42:08 | 漢字

ちょっと探し物があって、

めくっていると

ちょうど、ページの隣同士に

「苦」と「若」がありました。

どちらもよくお経に出てくる文字

「苦」というのは

お釈迦さまのさとりの内容も

「人生は苦なり」

ということです。

この字も改めて見ると

くさかんむりの字

意味の内容からすると

苦しいことがなぜくさかんむり?

と考えてしまいます。

 

語源的には「にがいくさ」と

いうことがあるようで、

舌に快くない味を感じる

そこから、くるしみの意味が

でてきたとあります。

 

となりのページには「若」

苦も若も似たような字

縦に貫くか横にはらうかで

字も違ってきて意味も

全く違ったものになります。

 

「若」は

桑の柔らかい新芽をかたどり

そこから、わかい、とかあたらしい

という意味が出てきたようです。

お経に出てくる場合は

「若」とかいて「もしくは」

「もし」と読む場合が多いようです。

 

いつも読む、『理趣経』にも

「若有聞此理趣」というように

また『観音経』には

たくさんでてきます。

「若有百千万億衆生」

というように、

若有「もしあって」というように

でてくるのです。

 

「苦」ということは

仏教の根幹で仏教の旗印のひとつ

「一切皆苦」

すべてのものは苦である

とでてきます。

インドの言葉では

duhkhaドゥフカといい

duは嫌悪の意味があって

khamには空虚の意味があり

嫌悪されしかも空虚な状態が

苦であるといわれています。

 

自分の心に都合のいい時は

楽を感じ、

自分にとって都合の悪い時は

苦を感じるということです。

四苦八苦は有名ですが、

生老病死の四苦に

愛別離苦アイベツリク

愛するものと別れる苦

怨憎会苦オンゾウエク

憎むものと一緒にいる苦

求不得苦グフトック

求めて得られぬ苦

それに

五陰盛苦ゴオンジョウク

心身環境など一切を成り立たせる

五陰が自分の心の執着から来る苦

しかし、

ここでわからないのは

最初の四苦の生苦と

次の八苦の五陰盛苦です。

 

そこで、

三苦という分けかたから見直すと

苦苦・壊苦・行苦に分け直すと

苦苦は好ましくない状態から

感じる苦です

これにあたるのが

病苦・死苦・怨憎会苦です

壊苦は自分にとって好ましいものが

壊れていく苦しみ

これは老苦・愛別離苦・求不得苦

になります

行苦は世の中の遷り変ることから

感じる苦で、

生苦と五陰盛苦です。

 

お釈迦さまの出家の動機は

この行苦ということが最大の問題

だったのでしょう。

30歳頃のお釈迦さまの様子は

文武両道で王子様という恵まれた

環境でなに不自由ない生活です

その中にあって問題となったのは

行苦ということです。

 

一つの文字でも

気になり出して調べ出すと

いろいろ広がっていき

楽しくもあるものです。

「芳」というくさかんむりの字を

調べたことから、

頁をめくるうちに不思議なことが

気になりだしたのです。

 

 

 

 

 

コメント
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