本蔵院 律良日記

熊本県にあるお寺“真言宗 本蔵院 律良のブログ”日々感じるままに活動のご報告や独り言などを書いた日記を公開しています。

身(み)・身体・体・からだ

2023-04-26 20:15:30 | 十地経

体という場合、私はあえて

身体という字を使います

心と体が一つになったものを

「身体」ということで

からだという問題

ただのBODYということでは

表現されないことがある

ようです

 

仏教ではよく

法体とか法器という言葉を

使います

法を保っている身体

ということで、法体

法を支える器ということで

法器というのです

 

私たちがあるということは

物があるということとは

違います

ここに誰かとしてあるという

ことです

身ミ、身体ということも

ただあるというのではなく

誰かとしてここにある

ということです

 

安田先生の本でも

「仏教では悩まないものは

凡夫でない。

しかし、

現代人はさとったという

わけではない。

迷うとかさとるとかがない

のが現代人の人間観である。

そういうのを英語でイット

という。

イット存在。

それは十把ひとからげである

それとして存在する。

それ存在、

そういうものになっている。

凡夫でもない。

迷っている人間でもないし、

さとっている人間でもない。

ただあるだけの存在。

 

生きている存在でない。

机があるようにある存在。

それをイット存在、

それ存在という。

それが現代人である。」

 

と、述べておられます。

最近気になるのは

よく道端でも電車の中でも

ものを食べたり

はたまたお化粧をしたりと

平気でしておられます

そういう人から見れば

周りの人たちは

イット的な存在なのでしょう

人と人との関係性がある

というのなら

人前ではできないはずです

 

また、人が集団として

扱われる場合は

それこそイット存在として

扱われているのでしょう。

 

講義では

「身体というものは

非常に大事な概念です。

阿頼耶識というような意識を

立てるのは、

身体が成り立つ意識。

普通の意識は

身体を予想している

意識なんだ、

身体を前提としている。

ところが

阿頼耶識は身体を内容と

している意識なんだ。

そういう意味では

身というようなことは

阿頼耶識がなければ

成り立たないんだ。

 

で、身ということが

実存ということの一面なんだ

身というようなあり方を

しているところに

実存ということが

あるわけです。」

 

そこで先生は体ということを

英語ではBodyと一語ですが

やはりただ単に体・Bodyでは

すまされないということで

ドイツ語の

Körper ケルパア と

Leib ライプ という二つの言葉で

説明しておられます

どちらもBODYと

訳されますが

その反対語から

ケルパアの反対は精神という

ガイスト

ライプの反対はゼーレという

心ということで

説明しておられます。

 

「ちょうど身はね、

ケルパアですね。

身体という場合のこの、

肉体ということもいうです

けどライプというんですけど

ケルパアという場合の体ね、

身体という。

何かそこに、ケルパアは、

これはガイストという言葉に

対する概念ですけど、

その精神をもっとるもの、

精神が物質をもった場合に

それが身体になるんです。

 

身体というものは、

いつかどこか誰かである

ような、といったことが身体

つまり目がある鼻がある

というような意味ではなしに

いつかどこか誰かである

ような存在を、

の象徴がですね、

象徴というよりむしろ、

徴表といった方が

いいかも知らんね。

 

徴(しるし)やね。

そういうものが、身体と

いうものです。

いつかどこか誰かであると

いうことの徴ですね、

しとるものが身体なんだ。」

 

やはり「この身」といった

場合には

ただの体ではなく

いつかどこかという限定が

あり、誰かという責任も

あるような気がします

 

開経偈にある

「この身今生において」

と、今この身を受けている

そしてこの時においてと、

千載一遇のチャンスであるし

そのチャンスを

生かさなければ

ならないという

覚悟のような言葉に

聞こえてきます。

 

まあ、難しいのですが

身ということ

ただのBODYではない

そこには責任をもった

存在であるということが

あるように思います。

 

 

 

コメント
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