本記事は2018年03月07日の調査によって加筆・修正されています。
修正箇所を青文字で記入。
極軸調整不可の図
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/46/db/c0130319a77b9dda2476991f21ec305f.jpg)
技師長の笠原です。
今回は堂平天文台91cmイギリス式反射式望遠鏡のダメ出し第一弾です。
まず結論から言いましょう。
上記のごとく極軸調整が出来ない構造であります!
・北端・南端軸受け共、二つ割りのメタル受け機構。
|
+->自動調芯ボールベアリング受けでした。
・南端はいくらかの球座受けになっている可能性もあるが、
見たところソリッドに固定されていた。
|
+->球座ではなく、自動調芯ボールベアリングでした。
・北端には方位・高度調整機構が備わっているが、これは据え付け時に
36°00’22”に調整するためのものであり、設置後に極軸を微修正
してはいけない。
|
+->理由は・・・ギアトレインが全て極軸ベースプレートに固定
されているからです。
つまり、北端の調整機構を動かそうものなら、
追尾用ウォームホイールとウォームギアのクリアランスも傾きも
狂う構造である。同様に粗動モータ用平ギアもガリガリ・グチャ!
である。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6d/d4/d0acc496179e5a550334be59968e4a86.jpg)
まさかの二分割メタル受け!
自動調芯ボールベアリングが入っています。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0f/a1/a72533f11cfad3d2da33237cdb06a725.jpg)
南端部も二分割メタル受けだが、やや球座か
自動調芯ボールベアリングが入っています。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6e/36/44420add302d9e161db77bed45edb768.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0a/ea/549348f523e923cd00c53526f5355a48.jpg)
何故こうなったのか?
この構造では、据え付け時以外の極軸調整が出来ない。
しかも、据え付け時でさえ、極軸を調整後に各ギアトレインの
アライメントを決めなければならない。
なんという構造だ!有り得ないぞ。
私が6時間調査をして、どう考えても、どうひねっても調整不可能だった。
もちろん、南端ピラーごと方位・高度調整など出来る構造物ではない。
<結論>
60年前の設計時、望遠鏡の極軸が何であるのか?
調整機構をどのように作るべきなのか・・・
誰も知らずに作ったと思われる。
地球の歳差運動とか、地震によるズレ、地盤沈下などなど。
全く考慮されていない。
それでも観望会程度はクリアできている。
3.11の時、北端ピラーが一部欠け、ドームがレールから外れたが、
極軸は岩盤に載っているピラーで守られた模様。
当時の機械屋さんを責めても仕方がない。
機械としては良く出来ています。
<ベアリングを使っていないぞ>
使っています。
60年前の設計時、直径1m越えのテーパーローラーベアリングは
無かった模様。NTNが1.15mの”超大径”ベアリングを作ったという
ヒストリーがあった。これ、ボールベアリングだろうねえ。
よって、
この望遠鏡、大きなベアリングが一切使われていないのです!
”まさかの二分割メタル受け”は、そのような時代背景があってのこと。
円筒コロぐらいは入っているかもしれないけどね。
軸構造に関しては2018年03月08日の記事、
”堂平の宇宙(そら)から12”で詳しく書いています。
良く見ると、ギア軸受けも全部メタル受けです。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/65/c4/dcd5fda0ea0ef12939256933dc688a8a.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/38/f3/80b13642cfd62dd7e44e3eeb6f33fbdb.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/03/76/61b4a6a8b7d5a0f27f0e543ea0036cd3.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/36/83/c5bd4601166b92ec68ee7d14f901f2e0.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1d/11/583e5bf2f227f153f62113ea5b2e1c0c.jpg)
<機内配線整理を開始>
現状使われていないケーブルがゴチャゴチャと這いずり回っており、
実にうっとおしい。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/21/f0/9f867149bdeb5b37c7d85c5646e910aa.jpg)
配電盤の中をチョキチョキぶった切った。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7f/43/200867caee78c97402f03862947f730b.jpg)
今回はスター・トラッカーケーブルとBNCコネクタバーを捨てた。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3b/e5/338ed47466398f7545a65df39a647d5c.jpg)
赤経軸エンコーダと、
絶対に動かしてはならない方位・高度、調整機構もどき。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6d/06/7b526914d58bca214bbd13d7532f2991.jpg)
ドームは三井造船が昭和37年8月11日に納めた模様。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/35/96/8b702df09dce5eeb6660576d356e07c7.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0b/ec/7aae33b20e4217548870bc922cb51b6f.jpg)
今回はここまで。
修正箇所を青文字で記入。
極軸調整不可の図
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/46/db/c0130319a77b9dda2476991f21ec305f.jpg)
技師長の笠原です。
今回は堂平天文台91cmイギリス式反射式望遠鏡のダメ出し第一弾です。
まず結論から言いましょう。
上記のごとく極軸調整が出来ない構造であります!
・北端・南端軸受け共、二つ割りのメタル受け機構。
|
+->自動調芯ボールベアリング受けでした。
・南端はいくらかの球座受けになっている可能性もあるが、
見たところソリッドに固定されていた。
|
+->球座ではなく、自動調芯ボールベアリングでした。
・北端には方位・高度調整機構が備わっているが、これは据え付け時に
36°00’22”に調整するためのものであり、設置後に極軸を微修正
してはいけない。
|
+->理由は・・・ギアトレインが全て極軸ベースプレートに固定
されているからです。
つまり、北端の調整機構を動かそうものなら、
追尾用ウォームホイールとウォームギアのクリアランスも傾きも
狂う構造である。同様に粗動モータ用平ギアもガリガリ・グチャ!
である。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6d/d4/d0acc496179e5a550334be59968e4a86.jpg)
まさかの二分割メタル受け!
自動調芯ボールベアリングが入っています。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0f/a1/a72533f11cfad3d2da33237cdb06a725.jpg)
南端部も二分割メタル受けだが、やや球座か
自動調芯ボールベアリングが入っています。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6e/36/44420add302d9e161db77bed45edb768.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0a/ea/549348f523e923cd00c53526f5355a48.jpg)
何故こうなったのか?
この構造では、据え付け時以外の極軸調整が出来ない。
しかも、据え付け時でさえ、極軸を調整後に各ギアトレインの
アライメントを決めなければならない。
なんという構造だ!有り得ないぞ。
私が6時間調査をして、どう考えても、どうひねっても調整不可能だった。
もちろん、南端ピラーごと方位・高度調整など出来る構造物ではない。
<結論>
60年前の設計時、望遠鏡の極軸が何であるのか?
調整機構をどのように作るべきなのか・・・
誰も知らずに作ったと思われる。
地球の歳差運動とか、地震によるズレ、地盤沈下などなど。
全く考慮されていない。
それでも観望会程度はクリアできている。
3.11の時、北端ピラーが一部欠け、ドームがレールから外れたが、
極軸は岩盤に載っているピラーで守られた模様。
当時の機械屋さんを責めても仕方がない。
機械としては良く出来ています。
<ベアリングを使っていないぞ>
使っています。
60年前の設計時、直径1m越えのテーパーローラーベアリングは
無かった模様。NTNが1.15mの”超大径”ベアリングを作ったという
ヒストリーがあった。これ、ボールベアリングだろうねえ。
よって、
この望遠鏡、大きなベアリングが一切使われていないのです!
”まさかの二分割メタル受け”は、そのような時代背景があってのこと。
円筒コロぐらいは入っているかもしれないけどね。
軸構造に関しては2018年03月08日の記事、
”堂平の宇宙(そら)から12”で詳しく書いています。
良く見ると、ギア軸受けも全部メタル受けです。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/65/c4/dcd5fda0ea0ef12939256933dc688a8a.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/38/f3/80b13642cfd62dd7e44e3eeb6f33fbdb.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/03/76/61b4a6a8b7d5a0f27f0e543ea0036cd3.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/36/83/c5bd4601166b92ec68ee7d14f901f2e0.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1d/11/583e5bf2f227f153f62113ea5b2e1c0c.jpg)
<機内配線整理を開始>
現状使われていないケーブルがゴチャゴチャと這いずり回っており、
実にうっとおしい。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/21/f0/9f867149bdeb5b37c7d85c5646e910aa.jpg)
配電盤の中をチョキチョキぶった切った。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7f/43/200867caee78c97402f03862947f730b.jpg)
今回はスター・トラッカーケーブルとBNCコネクタバーを捨てた。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3b/e5/338ed47466398f7545a65df39a647d5c.jpg)
赤経軸エンコーダと、
絶対に動かしてはならない方位・高度、調整機構もどき。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6d/06/7b526914d58bca214bbd13d7532f2991.jpg)
ドームは三井造船が昭和37年8月11日に納めた模様。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/35/96/8b702df09dce5eeb6660576d356e07c7.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0b/ec/7aae33b20e4217548870bc922cb51b6f.jpg)
今回はここまで。