久しく遠ざかっていたbookoffに再びよったら、どこも棚の整理がとても行き届いていることを知り、その変貌ぶりに感動させられました。
美術書やデザイン関係の単価の高い本に出会うと、つい予算オーバーしてしまいます。
考えてみれば、もう10年くらい経つだろうか、雑貨の比率が増えて本が減っていくばかりに感じたのは時代の流れから仕方がないことかと、足繁く通っていたbookoffにほとんど行くことがなくなっていました。
新刊書以上に古書は、ネットで買う時代が加速しているのだから、当然の流れと思っていました。
ところが久しぶりに寄ったら、だいぶ経営スタイルが変わり古書店とは思えないほど、棚がきちんと整理されており、店内スタッフの数もかなり増えていました。
最初は、たまたま寄った店がそうなのかと思ったのですが、他の店もどうやら同じ管理スタイル。
経営が厳しいから人を減らすのではなく、万引きロスを考えたら、防犯もかねて人手をかけて棚を絶えず管理して売り上げを伸ばした方が結果、経営は改善されるはずだとの真っ当な考えかと思われます。
私がこうしたタイプの古書店に期待しているのは、品揃えよりもひたすら商品が入れ替わること。
客であるこちら側が勝手に選ぶのだから、こだわりの商品などより絶えず商品が入れ替わることこそが何よりのサービスです。
かつてブックオフに対して「出版文化を破壊する」などとの批判もありましたが、その出版文化を大切にすると言ってる側が、どこもブックオフほどの棚のきちんとした整理が出来ていないのは、いかがなものか。
新刊書店以上に棚の整理が徹底されていて、ストックの補充が絶えずされているので、立ち寄るたびに新しい掘り出し物に出会えます。
古書店の出会いは、新刊書店と違ってこれを逃したらもう出会えなくなるのではと思ってしまうので、つい予算オーバーの買い物をしてしまいます。新刊書店ではそうしたことはなく、急ぎのもの以外は、古書で出回るまで待つかと思うほど。
ジャズ・クラシックCDの全集などセットものが、想像以上に豊富なのが何よりです。
マニュアル管理の徹底した経営スタイルとはいえ、経営がしっかりしているところは、地道な改革だけでなく、このような5年、10年単位でガラッと方針を変える決断が出来ています。
マニュアル管理の徹底した経営スタイルとはいえ、経営がしっかりしているところは、地道な改革だけでなく、このような5年、10年単位でガラッと方針を変える決断が出来ています。
もちろん、長引くデフレにコロナショックなど経営環境が厳しいことに変わりはありません。本の比率を下げて、雑貨など他のジャンルを積極的に増やしてきたからこそ、今の数字は成り立っているものと思います。
こうした経営の転換は、「ブックオフ なのに本ないじゃん」などと言われるほどですが、このたび足が遠のいていたブックオフに寄って感動したのは、およそ3割くらいにまで減少した本・マルチメディアジャンルを、ただ減少させるだけでなく、きちんとした競争力のある領域として人手をかけていることです。
減らしたことに注目するのではなく、残しているジャンルを確かな柱の一本としていかに育てるか。厳しい時代だからこそ、とても大事なことです。
人件費を節約することは不可欠かもしれませんが、付加価値を創造できるのも人間の労働力を増やしてこそです。
もちろん、それで売り上げ数字がちゃんとついてくるかどうかは簡単なことではありませんが、こうした変化は見ていてとても気持ちのいいものです。
実際には、いつからこのように整理を徹底するようになったのか、どのような考えで行われてるのかも知らないので、私の単なる誤解によるものかもしれませんが、何よりも感心したのは、たいていの新刊書店よりも整然と整理された棚が維持されていることです。
とてもいい刺激を貰えました。
確かに、指定の書籍を探すのはこれからも圧倒的にネットになりますが、現物との出会いで視野を広げるには、こうした古書店や新刊書店の役割が不可欠です。
かれこれ遠ざかっていた近県を含めたブックオフ巡りを、ふたたび再会しようという気になりました。
かれこれ遠ざかっていた近県を含めたブックオフ巡りを、ふたたび再会しようという気になりました。
おかげで最近増えている
副業型のブックカフェ、
古書店、
新刊書店、
セレクトショップ、
図書館など、
それぞれの役割の違いがようやく見えてきた感じがします。というよりも、町の本屋が本来の役割を果たせないままである実態がより明確になったと言うべきか。
出版業界と古書業界は別物かもしれませんが、低迷し続ける業界に明るい光が見えたとても嬉しい一日でした。
【追記】
のちに何店も他のブックオフにまわってみると、やはり棚の整理はどこも徹底されていることを確認出来ましたが、やや規模の小さい店などもまわってみると、次第に基本的な店舗の姿はほとんど昔と変わっていないことに気づきました。
したがって私の印象変化は、5年、10年単位で起こす抜本的な経営革新ではなく、棚の商品の徹底という経営「カイゼン」のレベルであるとわかりました。
それでもこの記事の表現を訂正することなく強調したいと思うのは、「出版文化の破壊」とまで言われたブックオフの棚管理が、多くの新刊書店の棚よりもきちんと整理徹底されていて、一冊一冊の本を大切に扱っているという事実です。
出版文化に携わる側の人間として、棚の一点一点に従業員が日々丁寧に触れずに、経営が厳しいから仕方がないという業界が衰退していくのは当然のことと思います。
新刊書店の側に多く関わる身ではありますが、10年くらいのブランクを経て再びブックオフのヘビーユーザーに戻れたことをとても嬉しく思えました。
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