妻と車で移動している時や食事をしている時にいろいろ話していると、これまで知っていた情報が思わぬところでつながり、新しい発見に至ることがあります。
そんなことの一つで、今回、書きたいのは各業界の数字の比較のことです。
よく同業者と話しをしていると、本屋の数が減って大変だという話題になりますが、いつも数が減って大変なのは本屋に限ったことではないことを強調しています。
問題は数ではないのだと。
そのような数の変化を起こしている現実はどういうことなのか、それを問うことなしにただ数だけを増やしてもダメでしょう。また、粗利の高い低いの議論も同じです。
そこで、まず増減の問題を抜きにして業界の実態としてみたときに、よく引き合いに出させてもらうのが、「2万」という基礎数字です。
どんな業界でも、全国合わせたその業界内の店舗(事業所)数が「2万」を切ると、その土地にその業種の店がないという町が現れ始めます。
日本の人口を約1億と見て、
1億 ➗ 2万 = 5,000
つまり、5千人の商圏人口で成り立つビジネスを基本として捉えられないと、一般的な話にはならないのではないかと。
事実、いろいろな業界を比較してみると
本屋の数、ピーク時2万3千店が現在1万3千店程度に。
他方、少ない、自分の町になくて不自由していると言われる業界の代表
産婦人科の数 約5千
多いと言われる業界の代表例
歯医者 約6万8千
お寺 約7万7千
コンビニ 5〜6万(未だ増加中)
この比較だけで、およその地域の多い業種、少ない業種の感覚はつかめるかと思います。
そこで私はもうだいぶ前のことになりますが、目安となる数字を
「80:20の原則」に従って以下のように整理してみました。
私たちのMISSION
全国(1億の市場)どこでも最低限存在するサービスレベルを実現するために。
全国2万の小売窓口 → 5,000人の商圏人口
5,000人商圏の2割、約1,000人の来店客
1,000人のうち2割、約200人の固定客把握
200人の固定客のうちの2割、40人のヘビーユーザーへ個別付加価値提供
つまり1,000人の顧客で成立つビジネスモデルが目標
残念ながら今振り返ると、これもあくまでも一般的なガイドラインの話で、決して答えにはなっているわけではありません。市場分析が決してマーケティングではないというのと同じです。
それは何かというと、和菓子屋さんです。
他の小売店はどれも、日本全国どこへ行っても買えるものばかり置いている商売なのに対して、和菓子屋さんだけは、その町に行かないと買えない。
そこに行かないと買えない、これこそが小売業復活の鍵になるのだと。
ネットの技術がどんなに進歩しても容易に代替しようがない
といった技術が週刊誌ネタの日常会話のなかで行なわれているからです。
「この本を買った人はこんな本も買っています」 のようなデータが人工知能によって
それでも、それをご近所ネタを含めた週刊誌トークの流れでお客の要望を引き出すなんてことは、
まだまだずっと先のことだと思います。
言い換えればこの「一人一人に合わせたサービス」こそが
どんなビジネスでも共通したこれからの究極目標であることがわかります。
一人ひとりに気をつかった対応というのは必ず考えているものです。
そして満足のいくような会話を目指してサービスをしているに尽きるかと思います。
また、一人ひとりの要望に合わせたサービスさえ実現できれば、市場の規模など関係なく、
地域で生き続けることができるのだということも、この事例によって確信することができないでしょうか。