正林堂店長の雑記帖
といっても、毎日書くようになってからまだ、たった5日のこと。
でも、本を売ることを職業にしているのならば、毎日入荷してくる膨大な書籍のなかから、一日一冊くらいは「おすすめ」なり「本に関する情報」なりを書くくらいのことは当然あってしかるべきかと思います。
ところが、その「書く」ということとなると、そう簡単にはいかないものです。
もちろん、本屋の店長が書くのだから、その内容は、書評というよりは、
本の紹介やお客さんとの本にかかわるやり取りから生まれた情報などが中心になります。
昔、ブログを開設する前に、ホームページのなかで「お客さんとの対話」というページを設けて、そうした話題になった本の情報を書いていました。
その内容が、決して一般的なものではなかったにもかかわらず、一部の本好きの人からは、本屋らしいコミュニケーションが出来ているようでとてもいい、と褒めていただいたことがありました。
本というのが10人10色どころか、千人千色の世界があるので、ベストセラー以外の情報を取り上げても、それに興味を持ってもらえるのは、それぞれの分野ごとの限られた人たちが相手にならざるをえません。
だから、書いてもしょうがない、ではなくて、
だからこそ、
ひとつひとつの個別の世界を、
それぞれに取り上げて形にすることが大事なのだと思います。
本屋の棚には、日々こうした情報が溢れています。
ところが、それを十分棚が表現できているかというと、とてもそうは言えません。
それぞれの本は、表紙と背だけで読者に精一杯アピールしているのだけれども、その中身のほとんどは、読んでみなければわからない。
実際に読んだとしても、おそらく10人10様の読み方があるだろう。
そこに、だから断定することは難しいという判断ではなく、
ほう、そんな視点があるのか、と気づかせてくれるような情報を本屋は提供しなければならないのだと思います。
毎日入荷してくる本の多くは、せっかくすばらしい本であっても、その多くはひとりのお客さんの手に取られることもなく、出版社に送り返されていくものばかりです。
もちろん、それでもまず店頭で多くのお客さんの目に触れることが第一の条件なので、低い打率でも置かざるをえないのですが、その先に私たちの本来の大事な仕事があるのです。
今日、そのブログのトップに、自己紹介文として、
自ら湯水のごとく本を浴び、読む本屋でありながら「読書の自己目的化はよくない」 、「議論、分析ばかりしてないで攻めてみよ」という私の一文のリンクを貼りましたが、自己目的化した読書をしている人より、自分の目標に必要な手段としての読書をしている人のほうが、より多く本を買い、読み、また多くのものを吸収しているものです。
このふたつの文章は、今回リンクを貼るにあたって読み直してみましたが、毎度きたない文だと思いながらも、言いたいことはなんとかほぼ表現できているかと思いました。
そんな思いのコミュニケーション手段となるようにするには、
まず、日々の膨大な情報のなかから一つでもブログにアップし続けることをしなければならないだろうと思うのです。
面倒くさいけど、継続して蓄積し続けられたら面白いだろうなぁ。
これは、決意文でも、約束文でもありません。
そうできたらいいだろうなぁ、
という世間話程度に受け止めておいてください。