私が妻と月夜野の家で食事をするのは、訳あって毎週土曜日だけです。
それだけに、毎度、ようこさんが腕をふるって素晴らしい料理を作ってくれるので、二人だけの食事であってもたまには「お品書き」をちゃんと作ってみようと思いました。
考えてみれば、旅館などの季節ごとに大体決まったメニューが出されるのにに比べれば、こちらは毎回異なる料理なので、人数こそ少ないものの、こちらの方こそきちんとした「お品書き」を添える価値があると言えます。
これまでも、ようこさんの料理はできるだけ写真には残しネット上にアップもしていますが、レシピの説明まではなかなか記録を残せませんでした。https://photos.google.com/share/AF1QipNJBnbgtH-pK5rN1yCl6_enLLXRyZe5Y6hxxrbzqlKBdlhVpKk90LC2Zg2wPwx2sg?key=RG40WU9CMS1Lb0Z2N0tFWnNSMTBMMEc4cEtUeGdB
それを「お品書き」というかたちで、最低限のその日の食事の記録を、食事以外のロケーションなども含めて表現できたらと思いました。
手作りしおりの作成用にあったデザイン和紙を使用。
薄いのでわかるかどうか、今日の月の写真(お酒の上の空欄)も入ってます。
そもそも「献立」とは、と辻嘉一が以下のように語っています。
献立とは、もともと酒をすすめる者の味の起伏を決定するもので、江戸の古書に
「祝賀の宴などの式を正すに、式三献、七五三などの儀あり、皆、献の数によりて名づけたる也。献とは肴を出す毎に更にあらためて盃を勧むるをいふ。」
つまり、盃を重ねるごとの料理の起伏の組み立て方ということらしいです。
この日は、たまたま上弦の月で立春。
月に合わせてどのように料理を組み立てるか、
などと考えることは、とても楽しいものです。
当初はA3サイズで作るつもりでしたが、うちの箱膳にはA4サイズで十分でした。
いつも、週に一度だけということから力が入りすぎて分量は作り過ぎ。
これからは、もっともっと周辺の演出に力を入れて量を減らしていけたらと考えてます。
私の写真の技術のなさによるのですが、料理の写真は撮影用の照明をきちんと添えないとなかなかうまくは撮れません。
お気に入りの器の選択や、松尾昭典さんの陶芸のことなども、時には書き添えたいものです。
こうした作業をしていると、一流のお店が、料理だけではなく、器から出し方、周りの環境など、いかに細部に渡り気を配っているかということがよくわかります。
どの要素が一番というわけでもなく、
料理の味、
旬の食材
盛り付け
器の選択
食事をする部屋のしつらえ
選ばれたお酒
その日の体調
酔いがまわりだした頃の会話
料理や酒のことはもちろん、
仕事や読んだ本のこと、地域づくりのことなど
ようこさんと黙って聞き耳をたてる息子を相手にとりとめもなく話す時間
そんな世界をお金をかけずに「日常の食の世界」として
ひとつひとつ、かたちにしていくのはとても楽しいものです。
毎度ようこさんが一生懸命作ってくれている分、その素晴らしさをこれから表現するために、お品書きのデザインを毎回考えるくらいは続けていきたいものです。
関連ページ
「手作りの箱膳を使いこなす」
http://blog.goo.ne.jp/hosinoue/e/98c70f8c7437259a39a9d21c2b237950