TATSURO SHIBUYA + ARCHITECTURE LANDSCAPE DESIGN STUDIO

アーキテクチュアは建築、ランドスケープは景観。風景を生かす建築環境デザインに取組んでいます。

街づくり協議会

2005-02-04 22:57:51 | 地域活動や学会活動などその他の活動
 今携わっている仕事には、「街づくり協議会」という組織が関わっています。「街づくり協議会」(以下「街協」)とは、簡単に言ってしまえば、その地域に住んでいる人たちによって組織されたNPOのようなもので、地域のことをよりよくするために、みんなでいろんな意見を言い合う「場」のようなものです。
 住民自ら運営している場合もありますが、多くの場合、街づくりや都市計画などの知識を持った専門家に「コンサルティング業務」を委託して、意見の集約や調整を行っています。
 私自身も学生時代から、「ワークショップ」とか「住民参加」のイベント等に参加してきましたので、そういった「コンサルティング」の大変さと、面白さは、とてもよく分かります。
 今回は、たまたま設計者という立場なので、「今作っているものは、こんな感じなんだよ~。」というのを、「街協」側のコンサルを通じて、住んでいる人たちに伝え、街協から意見を伺う側に立って仕事をしています。
 本来は、直接「街協」の打ち合わせにも出席して、自分の口で説明したいのですが、住民がたくさんいたり、「街協」の構成委員が、企業単位の場合には、結果的に、専門コンサルが「街協」の窓口となってしまいます。先にも書きましたが、ここでの専門コンサルは、あくまで調整役や、まとめ役に徹することが大切です。そうすることで、設計者の意図を住民に伝え、住民の意見をくみ上げることにつながり、しいては、街をよりよくすることにつながると私は信じています。
 ところが、時として、コンサルタントが「設計」にまで立ち入ってしまう場合が往々にしてあります。専門家として意見をもらう分には、とてもありがたいですし、専門どおし、街をよいものにするために、議論することは、むしろ歓迎すべきことだと私は思います。ところが、ごくたまに、あたかも自分が「設計者」気取りになってしまうコンサルタントもいます。
 これは、多くのコンサルタント会社が、建築設計事務所の登録をしており、自身も設計を生業としている場合が多いためとも考えられます。たちが悪いのは、本来「街協」との窓口であるはずのコンサルタントが、立場を利用して「街協」を自分の都合のいいようにコントロールしてしまうことです。こうなると、本来の設計者ではなく、コンサルタントの言った意見がそのまま「街協」としての意見となってしまうため、設計者の意図が街協側に伝わらないばかりか、いいものを作ろうとせっかくがんばっているのに、遅々としてプロジェクトも進まなくなってしまいます。
 今の仕事が、まったくそうだというわけではありませんが、コンサルタントの一人として、つくづく、こういう仕事のやり方だけはしたくないものだと思います。
 

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