突然の電話がそう告げる。お相手は、ぼくが昔から<社長>と呼んで敬愛するT氏。その呼び名にぴったりの、ナイスなジェントルマンだ。
「新しく買ったパソコンをいじり倒していて…、なってしまったんです」
さあ、大変。
「アイコンの整列をかまっておったんですよ」
年下のぼくにまで丁寧な口調だ。
何が起こったのか? 皆さんはおわかりだろうか?
Windows XP には、コンテキストメニュー(右クリックすると現れるメニューのこと)に、「デスクトップ アイコンの表示」というのがある。正しく言うと、「アイコンの整列」のサブメニューとしてあるのだ。これは98にもMEにもなかったと思う。うっかりこれをクリックした社長、平素の冷静さからは考えられない動転があった模様だ。そりゃそうだろう。デスクトップのあまりな殺伐さ。何もないのだ。初めて体験すれば、許容範囲を超える動揺も当然だ。
もう一度右クリックすると、「アイコンの整列」のサブメニューに、「デスクトップ アイコンの表示」のチェックが外れているから、クリックすれば解決するのだが、しばし間があり、案の定、
「うぉー、出て来た、出て来た」
で、無事復帰だ。
パソコンを操作していると、よくこうした事態が起こりうる。迷子の子どものようにさ迷うようなことは再三だ。そこで、グリム童話ではないが、自分のたどった道に目印をつけよう。なに、ひとつ前の操作を記憶するように努めるのだ。つまりクリックのテンポを少し緩めよう。これだけで迷子率は激減する。
さて、今回のアイコンが消える現象を有効に活用する手もあるかと思う。デスクトップにお気に入りの壁紙を貼れば、立派な絵画だ。日頃、よく使うアイコンは「クイック起動ツールバー」に収めてしまえばよい。なにアイコンをドラッグするだけだ
フランスの有名な下着メーカー オーバドゥ (フランス語で「朝の詩」の意)のページに、Downloadsがある。これをクリックすればみごとな芸術作品にお目にかかれる。日本人には真似のできないセンスだ。残念ながら圧縮ファイルになっているので解凍しなければならないが、パソコンのイロハとしてぜひゲットされてはいかがだろう。ただし、オフィスで使えば評価が下がることは確実だ。
今夜のBGMは、「 ロンダ・ヴィンセントのRagin Live 」から、Kentucky Borderline。最高だ。