夜、久しぶりにK氏宅を訪問し、無線LANの設置を手伝う。
氏の書斎でまったりしておったのだが、たまげたのが部屋に鎮座する音響装置だ。かねてより塩ビ管を使ったスピーカー作りに凝っているとは聞いていたが、直径10センチほどのビニール管で、長さはピカピカの一年生ほどの身長くらいだろうか、垂直に立っているのが目についた。左右2本が3セット。ゴジラの映画に出てきそうなミニチュアの煙突の群れだ。その天辺の穴にSONYのラジカセから流用したスピーカーが埋められている。私宅の廃棄処分品からとったという。
エンヤの曲を聴かせてもらった瞬間、鳥肌がたった。あまりの大迫力、高音質にびっくりだが、座っている床から低音の響きがただものではない。まるで映画館にいる心地なのだ。
さらに驚くのは、部品はほとんどが百均で買えるものばかりなのだそうだ。氏が憧れるスピーカーはタイムドメイン社製のもので、価格はなんと31万5千円。その理想とする音質に近づけたいと工夫を凝らしたそうなのだが、本人は極めて満足気で、充分近い線に行っているという。値段の割りに…、という注釈なしにだ。ただ、ぼくには本物に接してないから分からない。それでも、我が家のものを凌駕してるのではないかと、悔しいが、思えてならない。音量を絞っても真価を発揮し、豊かで、やさしい音に包まれているといった気分が心地よい。どうりで氏は仕事ができるわけだ。耳の保養をさせてもらった。