どうでもいいこと

M野の日々と52文字以上

竹島問題と周辺・私感

2012-08-17 03:06:34 | インポート
青森市に住んでいた。小学生高学年だったころと思うが新町と本町の間の大きな道路の間に公園があった。そこの噴水がなぜか好きでよく見に行っていた。夕方になるとライトアップされてとてもきれいだった。この公園は柳の木が多かった。
噴水の脇に看板があって、この公園の柳は戦時中に青森市民から大切にされた朝鮮人が、空襲で焼けてしまった柳の木を、感謝の意をこめて植えたものだ、と記憶している。ただこの看板を読んだ時には少し不思議に思った。
教科書は全部読破していたし、まあ本の虫だったので差別問題はおぼろげに解っていた。差別されているはずの朝鮮人が、感謝して昔の柳の通りを復活させたいと願って植えたと言うのはどうゆう事なのだろうか。
大人がムリヤリ朝鮮人から金を取って美談に仕立てたのだろう、そのときはかすかに思った。
しかしよく考えると、青森は差別は決して無い訳ではない。しかし絶対表立たないものだ。なぜか。差別される人口が少ないのだ。なので差別教育が無かった。
そして人を見る所がある。悪く言えば使えるやつは使うのだ。いい方向では、あの棟方志功を東京に送り出したのは、青森市の弁護士会だ。大成功した。
多分本当の話しなのだろう。この公園が無くなった時には、がっかりしたものだった。
盛岡でもあまり差別の話しは聞かない。多分ディープな話しで県外出身者には解らない事なのかもしれないが、どうでもいい事になっているようだ。盛岡冷麺で売り出してもいる。

私自身としては、差別意識はない。なぜなら私が優位にあるとは思えないし、もしかすると100年前くらいに朝鮮からの血がはいっていると思う。あとそういった考えの無い家だった。


日本人が朝鮮人を差別したのは、歴史の上では比較的新しい事だと思う。江戸時代なら文物の交易もあって、いいように考えていたと思う。そして朝鮮に対する窓口は対馬藩と幕府だ。武士階級が対応する。互いに鎖国しているので庶民との交流は少なかったと思う。
中国とは、明らかに流行があったし儒教思想を学ぶ人たちに取ってあこがれの対象だった。
それが明治維新以降急速に悪くなる。征韓論についてはあまりにも概念的で差別に結びつく事は少ない。ただこの時に流布された言説がその後に結びつくのではないのか。
中国については、アヘン戦争が伝わった衝撃が明治維新を起こしたとも言われるほどだ。中国に対する疑義が起きた。
はっきりして来たのが、外交交渉を通じてだ。柵封体制をとる朝鮮と、近代化をはじめた日本との間に問題が大きく広がる。特に中国に対する柵封体制には日本はやっては行けない事と考えていた。そこにこだわる朝鮮に対して日本のイライラが募ってゆく。特にロシアの南下を日本は怖れていた。

ここではっきり言おう。政治に儒教思想ほど有害なものはない。李氏朝鮮の歴史はまさしくそうだ。柵封体制で温存された政権がやった事は、政争に負けたものは地方に飛ばしたり粛正したり簡単にする。そしてその子孫を家柄が悪いとして優秀であっても排除する。
儒教では正しい人が正しく治めるのが正しい政治だと言う。正しい人、それは家柄なり血筋なりにしてしまう。
その結果李氏朝鮮末期には、その正しい人ばかりが政治を治めるようになり、正しい人の権力闘争ばかりになってしまう。中国は、さすがに大国だけあってそんな事をしていたら人材が枯渇してしまう。科挙制度があるのはそのためだ。
実はこのあたり大学でとったアジア史の講義で、閔氏暗殺の項目を担当したのだが、本当に吐き気がした。読めば読むほど具合が悪くなった。調べた本は左の人たちが強い時代の本だった。その左の人たちが書いた本でもそうだ。
日本人の朝鮮人差別は、この辺りからはじまっていると思う。まずエリート層と一般人の乖離、これを日本人は知ってしまった。中国もそうだ。日清戦争で中国の一般人を初めて見た一般階級の日本人はどう思っただろうか。
江戸時代まではエリート階級の付き合いだった。その上日本は中国や朝鮮の文化にあこがれがあった。
それが一転して崩れ落ちたのが、この明治期だ。それがとても貧しい一般人、その礼儀作法など見てしまった。実は日本人だって五十歩百歩なのだが、近代化を目標にしている日本人から見ると信じられないものだっただろう。特に末期の李氏朝鮮の対外政策は、まず信じられないものだ。

あのレポートを書いたときの気持ち悪さが思い出される。本を読んで吐き気がするのは、日本軍のインパール大作戦に関するもの以外では、このころの朝鮮半島関連だ。この情勢でロシアと手を結ぼうとするのは、たとえやむを得ない事情だとは分かるが、確実に亡国への道だ。

さて日本が江戸時代にあこがれの対象だった両国が一転して最悪の国家になった。しかし中国と朝鮮に取って日本は東夷でしかない。東夷と戦争して負けた中国が、突然西洋文化を積極的に取り入れたりするのも、朝鮮がロシアと手を結ぼうとするのも(ロシアは元々は元王朝の流れでもある)、日本が東夷だと彼らは考えていたからだと思う。

日本人の朝鮮人差別だが、憧れていたものがこんな程度かという所からはじまっていると思う。そして日本の美学に全く合わないと言う事実(特に男がすぐ泣く。これは現代日本人でもかなりキツイ)がそれを冗長させ、本当にありとあらゆる生活習慣を槍玉に挙げて、差別になったと考えている。
あと、大都市に朝鮮人や中国人が仕事を求めてやって来たと言うのはあるかもしれない。目立ちすぎたのだ。青森の例はその逆だろう。
朝鮮人側にも、東夷である日本人に対する差別が無かったとは言い切れないだろう。言葉の問題はあった。習慣の問題もあった。しかし日本は東夷である。その意識は無かったとは思えない。

中国・日本・韓国・北朝鮮問題にはこの伏線がある。

韓国には、トリレンマ、つまりジレンマが三角形になっている構造が戦後からある。まず独立した韓国という国は樹立できたが、その直前は日本だったと言う事実だ。建前上は朝鮮半島の朝鮮人が日本人だった、植民地時代がある。第2次世界大戦で、実は韓国は負けた国でもある。よく出る話しだが、8月15日に朝鮮半島は哭いたと言う。16日には独立できると分かって歓声が上がったようだ。
植民地だったということで忘れる事は可能かもしれないが、日本の領土であったと言う事でアメリカとソ連で分割統治されてしまう。かなり理不尽な話しだが、これが現実だ。
日本の北方領土問題や、ソ連による日本兵のシベリア抑留も理不尽だが、全くの現実だ。受け入れたくもない事実だ。


韓国は、占領した日本とアメリカ、そして分断された国家の中に、民族意識を求めなければ行けない。日本と韓国の同じ所は、アメリカからの独立だ。ただこれはどうすれば出来るのか解らない。韓国でも日本でも核軍備論争があるのはこのあたりだ。
しかしアメリカは決してそれを許さない。なぜならアメリカから見ると日本も韓国も独立しているからだ。ただ単にアメリカとの議論に負け続けているだけなのだ。


北朝鮮問題で、上昇している中国にすりそっているようにも見える。実は儒教思想を共産主義に組み込んでいるから北朝鮮があるのであって、実は韓国は北朝鮮に対して民族意識以外のシンパシーを感じている可能性がある。

民族意識にとっては北朝鮮との友好、そして合併が重要な事だ。この時に有効なパートナーとして中国を韓国はいま考えている。あまりにも単純だ。何も考えていないとしか思えない。

とても良い記事がある。この辺りの事情はこの記事を読めば分かる。この分析は正しい。前後編に分かれている。


http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20120731/235140/



アメリカが統治した国は、必ずアメリカ嫌いになる。これはアメリカの外交政策の法則だ。日本も韓国も同じだ。オスプレイ問題もそこにある。だが単純に嫌いと言えるほどアメリカの思想が悪い訳ではない。いい所も一杯ある。これを超える思想を生み出せない、アジアに問題がある。

さて前ふりが長かった。竹島問題なのだが、この私ですらもうそろそろ止めてくれ、なのだ。尖閣諸島もそうだが、李氏朝鮮も中華思想の中国も、僻遠の土地なぞ意味が無いとして来た歴史がある。だから日本が独立国家でいられたのだ。それを忘れてしまったのか?
それを今ここで、大統領が竹島に上陸し、大学生が遠泳大会を成し遂げ(これはすごいと思う。多分なのだがプールを作ってそこを泳いでいる人と、引っ張っている船がある)、オリンピックでサッカー選手がアピールして問題になった。
ついでに、大統領が従軍慰安婦の問題(私はこの問題について深く考えている。が今の韓国の抗議はおかしい。)を演説する。訳の分からないのは、天皇が訪韓するがその際に謝罪するべきだ、これは異常だ。
私は天皇主義者ではない。だがこれだけはだめだ。天皇が訪韓する予定は全く公表されていない。あの皇室報道記者すらも、いや右翼すらも知らない話しだ。内々の外交で話しがあったのかもしれないが、それを先走って話してしまうというのは、確実にアウトだ。外交上アウトだ。多分韓国内のウワサを信じただけなのだろう。よりいっそうアウトだが。
確かに大統領選の問題はある。でも言っていい事と悪い事がある。
日本を仮想敵国と言った事だ。宣戦布告に匹敵する発言だ。これにはアメリカも当惑するだろう。日本と韓国はアメリカと安全保障条約を結んでいる。韓国と日本が対立すると、アメリカの立場がなくなるのだ。
突然にフランシス・フクヤマの「歴史の終わり」「が出現したのだ。

今回の竹島問題と尖閣諸島問題はきっちりリンクしている。確実に韓国は中国よりになったと言える。


最後に、日本と韓国には近親憎悪みたいな所がある。互いに違う所を見つけ合ってののしり合う。それが差別に繋がったり、今回の件ではもっと複雑な、日本人にさせられてしまった歴史、朝鮮戦争で歴史的な文化財を失ってしまった遺恨などいろいろが背景にあるのは解る。それを反省していない日本人も悪いのだろう。日本人も、第2時世界大戦でアメリカに負けた事を認めても、中国に負けた事実を直視できない人が多い。それでは韓国は?当時朝鮮人は日本人だったので、朝鮮人に負けたと日本はまったく思っていない。法的にそれは無いのだから。
日本もねじれまくっているのだ。それがネット上での嫌韓騒動になるのだ。
だが今あるねじれを真剣に見ないと、韓国は間違いなく危ない橋に進むだろう。
日本に誠意が無いからこうなるのだ、そうとも言える。だが根本がねじれている状況では、もう誠意すらも難しい。それを確認した事件になった。

なお私が思う所だが、明治人はまったく見事なまでに確実な所に碁石を打った。こんなにジワジワと効いてくる石も滅多に無い。竹島だが、もしも韓国が中国よりにならなければこの問題は大きくならなかった。そういった石だ。
日本国憲法で、戦争を起こせないのが日本だ。そして日米安保条約でもこれは規定されている。なので今の日本政府を弱腰だとかいう人の気が知れない。恫喝すら出来ないのが日本だ。

そして今現在あるこの危機なのだが、真剣に誰もが考えていないからこうなった。これは日本だけではない。韓国はそうだ。中国は今回少し考えているようだが、実は各国行き当たりばったりでどうしようもない。
まったく盧溝橋事件前日だ。誰も無いも考えていない。



8/17追記
安住財務大臣が日韓通貨融通の拡大打ち切りを示唆した。竹島・尖閣諸島問題については本当の所打つ手が無い。その中でこの手段がとられたが、全く意味がない。この通貨融通拡大は中国も行っている。なので日本が融通しなくとも中国が融通するであろう。韓国を更に中国に引き寄せるだけだ。
韓国と言えば輸出も多いが輸入も多い国で、外貨が慢性的に不足しがちだ。そのために世界経済状況が怪しいこの時期に、日中が通貨融通拡大をしたものだった。
なお韓国の貿易高の3割が中国だが、最近では韓国の全体の貿易高が減少している。貿易赤字になる可能性もある。そして経済の伸びが下がりはじめている。特に民間の金融負債が大きくふくれあがっており、世界情勢に何らかの事があれば、外資が逃げ出しまたあの外貨不足の悪夢に陥る可能性が高い。そうなった場合、間違いなく日本にその影響が重なってくるだろう。
今回の顛末を、日本の弱腰外交と言うのは簡単だ。だが日本はこの件に関して世界に全くアピールしてこなかった。やれる事もしていない、こちらが問題だ。