どうでもいいこと

M野の日々と52文字以上

BMI 指数とダイエットの小さい話し

2013-12-07 14:10:43 | インポート
Bmi


少し面白い記事があった。JB Press の記事だ。タイトルは「太り過ぎだけじゃない、痩せ過ぎも生活習慣病のリスク」
記事の内容は、日本人女性は痩せ過ぎの傾向がある、というものだ。出産やその子供にも痩せ過ぎは悪いという話しになっている。私が驚いたのは、この一節だ。


 総体的に見ると、食糧事情などの理由から、所得(1人当たりのGDP=国内総生産)の低い貧困国では痩せ過ぎの女性が多いという統計がある。WHO(世界保健機構)の「Global Database on Body Mass Index」によると、BMI18.5未満の女性が全体の30%以上を占める国は東ティモール、エリトリア、インド、パキスタン。続いて20%以上の国もバングラデシュ、ベトナムなどの発展途上国において痩せ過ぎ女性が多い。
 一方、欧米諸国をはじめ、ほとんど先進国ではBMI18.5未満の女性の割合は5%前後である。しかし日本ではBMI18.5未満の女性は全体の10.4%であり、この比率はガーナの8.6%、ルワンダの9.8%よりも高い。つまり日本は、裕福にもかかわらず痩せ過ぎ女性の比率が高いのだ。



一つ納得が行ったのは、海外から日本人女性の評価が高いと言う事だ。人口の10%がモデルさんみたいなものだから、そりゃきれいだろう。おまけに栄養失調やら病気で痩せている訳ではない。
ただ、ガーナやルワンダと比べても多いと言うのは衝撃的だった。特に「2010年の20歳代女性のBMI18.5未満の割合が29%」というのは凄い数字だ。
この記事では、日本人特有の同調圧でこんな過激なことが起きていると書いている。極めて興味深い。


それでは日本人にはそんなに摂食障害、特に拒食症が多いのかと言えばそんな事はないと思うのだが、思春期から青年期で1%はいると言われている。私の周りではこの30年間で一例しかない。もちろん解らなかっただけかもしれないが、この10年で1万6千人以上の大学生を見て来た事になるので、本当に1%なのかどうか私には解らない。


さてこのBMI なのだが、ボディマス指数と言われている。例の体重(kg)/身長(m)/身長(m)で算出される指数だ。ウイキから引用する。


「体重/身長の二乗」からなる指数は、ベルギーの数学者、統計学者で社会学者であるアドルフ・ケトレーによって1835年に開発された。その後、ドイツ(オーストリア)の衛生学者イグナーツ・カウプ (Ignaz Kaup) によって小児の発育指数として利用されるなどして普及し、1972年のKeysらの研究によってこの指数が体脂肪率とよく相関することが明らかにされたことによって、身体組成研究分野における重要な指数として位置付けられ、以後、BMIと呼称されるようになった。1985年には、GarrowとWebsterの研究によって、肥満度の代替指数としての有効性が検証された。



アドルフ・ケトレーのウイキをリンクしました。あのうざったいBMI 指数の生みの親ですが、まったくの19世紀人です。数学者、天文学者、統計学者で社会学者で、社会学に統計学的方法を導入したというマルチプレーヤーです。19世紀といえば産業革命後半ですが、科学が最も輝いていた時代です。何でもかんでも数字にしてしまったり科学にしてしまった時代です。その中でもかなりの天才です。その彼が、なぜBMI 指数を作ったのかは解りません。もしかすれば人の体型を客観的に見たい衝動があったのかもしれません。貧困問題などの社会学的に重要な問題を取り上げるために考えたのかもしれません。

いま、考えたかもしれませんを連発しました。原著を読んでいないのでなぜこの指数が生まれたのか、そしてこの数式が生まれたのかが解りません。なので想像するのですが、多分ポッチャリは丸くなり、スリムは細くなると言う事に注目したのでしょう。なので一旦人を球体に例えたと考えます。ただその球体の体積にするとkg/?の比重の値になります。見た目を表す指数としてはどうなのかとなります。ただ個人差の少ない乳幼児にはkg/?の指数の方が使われているようです。
体型を表すのに表面積だと、身長が同じで体重も同じでも違いが出ます。多分この辺りを考えて、作った指数なのでしょう。ただ完璧に人体の表面積を求めるのは難しいので、単純な球体モデルにしたのではないのでしょうか。なお球体とすれば円周率が付くのですが、常数なので省略したと考えられます。


当時の科学は、もう何でもかんでもやってみて、と言う所があります。人をいったん球体にしてしまう所も強引なのですが、単純なモデル故の簡便さと、その後の疫学研究でも大体当たっていると言う事になりました。

問題はあります。ケトレーは正規分布の中心値が平均だと言う考えを作った人です。しかし人は体型からもかなりバラつきのあるものです。全体では正規分布になるが、正規分布の両端ではBMIの値は本当は補正されないといけないものです。例えば今回グラフに書いた身長140センチとか200センチあたりは日本ではそうそういるものではありません。単純なモデルだから普遍性があるのですが、身長が極端に低い場合でも内蔵の大きさは標準よりあまり変わらないとか、大きいと身体を動かす力も必要なので筋肉量が増えて、体重が大きめに出てしまう傾向にあるようです。そういった生物的な視点がないのがBMIです。

ただ平均的な人間には、かなり当てはまります。ここがこの指数の面白い所です。


男女差もとても大きいです。今回計算した所、例えば私がBMI 18だった場合の体重と、現時点での体脂肪率から計算した体脂肪率0%の体重は大体一致しました。私は筋肉が多いというオチですが、女性の18だと筋肉や骨、そして内蔵を削っていると言う話しになります。良い事はない、そう考えます。

BMI指数そのものはあくまでも体表面積当たりの体重です。体脂肪率や骨密度などの他の数値と合わせて考えなければ、厳密には健康管理に使えません。あくまでも簡便な指数です。ただそれでも18以下と言うのは先天性の代謝異常の持ち主でない限り、健康とは言えない数字です。


さてダイエットですが、基本は基礎代謝を上げる方向で、筋肉を付けたり褐色脂肪を刺激したり、有酸素運動を多くすると言うのが基本です。で、これが王道です。そして3ヶ月以上続けてようやく効果が見え始めるというものです。最低半年はかかります。

それは誰もが解っている事なのですが、それでも薬を使ったダイエットなんかの詐欺が続きます。楽して痩せたい気持ちはよくわかります。しかし恐ろしい事に、3割くらいの人はこの詐欺でダイエットに成功するはずです。プラセボ効果です。思い込みだけで風邪が治ったりするアレです。そして多分なのですが、こういったダイエット薬にはかならず「効果はあるがあくまでも補助的なものだ、食べ過ぎるな、適度な運動をしろ、夜食は避けろ、睡眠時間はたっぷり取れ」とどこかに小さく書いているはずです。ここまで読んですべてを信じた人だけが成功するのです。大きく書いている「みるみるやせる」だけを信じていてはダイエットに成功しないはずです。

最近話題の高タンパク質低炭水化物ダイエット法も同様です。成功している人が多い方法ですが、最近読んだ記事では、生理学の書き間違いがあってなにかウサンクサクなりました。そう思ってその記事を検索し直したら、消えていました。グルコース代謝と脂肪代謝とタンパク質代謝がゴッチャになっていたのです。私にも解るレベルだから消えて当然でしょう。
なお高タンパク質低炭水化物ダイエット法は理屈の上では間違っていません。ただやはりすぐには効果が見えないはずです。最低一ヶ月経ってから効果が見え始めると思います。ボディビルダーがやるダイエット法だったのですが、彼らも大体3ヶ月かかると言っています。
ボディビルダーなのですが、もともと身体を大きくし維持するためにとんでもない努力をしています。栄養管理をキチっと普段から出来ている人たちです。修行僧とどこが違うのかと言った生活です。その彼らがやって成功したり失敗したりするダイエット法でもあります。普通の人がきっちり出来るかどうか、とても難しいと思います。

多分その努力をしただけで普通の人は、ダイエットに成功するのではないのでしょうか。

なお理屈の上では、お腹だけとか腕だけの部分ダイエットと言うのはかなり難しいです。特にバストを落とさずにダイエットと言うのはかなり難しいはずです。ただもしかすると女性ボディビルダーがそのノウハウを持っているかもしれません。

そうすると、また普遍性のない話しになりそうです。極端と言うのは、やはりどこか間違っています。



追記

日本ではBMI指数22の人が長命になるという統計データーがある。ただこのデーターが長期観察に寄って得られたものなのか、それとも長生きした人のBMI指数をまとめたものかよくわからない。老人はたいてい痩せているものだ。長生きした人のBMI指数だと、小さめに出る。
逆に少し太っていた方が長生きすると言う疫学的な研究もある。BMI指数24程度のようだ。多分男性の体脂肪率で考えると、15%~22%当たりになるのではないのだろうか。こちらの方が納得が出来る。年を取ってから体脂肪が減る事を考えれば、少しは蓄えていた方が良いと言う事だ。

男性で体脂肪率が12%を切ると、風邪を引きやすくなります。9%切ると顕著です。30%を超えると生活習慣病になるリスクが高くなります。痩せ過ぎも太り過ぎも良い事はないということだ。

女性は、美と健康とアンチエイジングを求めるあまりダイエットに走ってやりすぎるのだろう。ただ健康は自分で解りにくいものだ。特に若いとなまじ体力があるから、更に無理をしやすいのだろう。おまけにダイエットは忍耐と努力が必要だ。その固い意思では、健康は簡単に無視されてしまうのだろう。
このへん男って楽だなと思う。男は評価基準がいっぱいある。筋肉は逞しいと言われるし、痩せはカッコイイと言われるし、デブは優しそうと言われる。なおデブが優しいのは本当だ。自分に優しいから他人にも優しい。
どちらにしても金を稼ぐと言う評価基準がある。こちらの方が男にとって大きいように感じる。


あと高タンパク質低炭水化物ダイエット法ですが、胃腸が消化しきれない場合や、胃腸の定常細菌のバランスが崩れる事があるようです。消化不良や腹痛が起きた場合は、自分の体質に合わないと思ってすぐに止めた方がいいでしょう。胃腸薬や乳酸菌群の摂取とかでカバーできる可能性がありますが、まずはいったん止めて様子見が必要です。
ダイエットは個人差の大きいものです。例えば私は炭水化物中心の生活の方が、ダイエットできます。脂肪摂取量のコントロールの方が重要です。とはいっても脂肪摂取量を極端に減らして生活したら、ある日突然チョコレートが猛烈に食べたくなって、一気に2枚食べてしまいました。あんまりもの事に、それ以来脂肪摂取量の制限は止めました。なにか飢餓状態になっていたみたいです。
ダイエットは慎重に!