今日は天気も良く、かといって30度を超えない気温になった。この29.8度と30.0度の差は大きい。スケジュール的にも隙間があり、余裕があった。事務仕事は終了したし、とりあえず仕事は順調なスタートを切ったわけだ。
さて、朗読劇向けに「かちかちやま」を書き直したという話をした。これは二人のパントマイムと朗読者で演じられる。ラスト近辺で演者に台詞がある程度で、いかにドタバタをやっていただこうかという趣向だ。ありすぎる存在感と動きがおかしいすぎるが、しゃべりがとってもイマイチな二人を想定して書いているので、何が面白いのかはよくわからないと思う。
ただこの二人のうち一人が、「今年は「芝浜」やります!」とか無謀なことを言い始めたので、この本はもうないなと思っている。ということで、数回に分けて公開します。実際に話は長いです。
ということで、ここしばらくはあたり障りのない写真と、最初に近況で、次からが話、最後にまた近況で続けます。
珍説「かちかち山」
むかしむかしある所に、仲睦まじいおじいさんとおばあさんがいました。
このところ困ったことに、此の頃タヌキさんが住み着き、悪さばかりしております。畑のきびをくすねたりスイカをとったりは序の口で、おじいさんをいじめるのです。
おじいさんが山できのこを採っていると、「じじいの松茸つぶれおちろ、じじいのハツ茸くされおちろ」と囃し立てては消えてしまいます。畑で豆をまいていると、「じじいの二つ豆つぶれおちろ、じじいの二つ豆くされおちろ」と囃し立てては消えてしまいます。
おじいさんが釣りをしていると、タヌキさんが現れ「じじいの竿はポッキリポッキリ、じじいの魚籠はカラッカラ」とさらに囃し立てます。おじいさんは竿をひゅんとしならせて釣り針を、タヌキさんの口にかけ、魚籠の中へタヌキさんを放り込んでしまいました。口をしっかりと締めて家に持ち帰ると、おばあさんに言いました。
「今日はタヌキ汁だなぁ。ばあさんや申し訳ないがさばいておくれ。わしは少し街に用を足しに行かねばならんのでよう」
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おじいさんを見送るとタヌキさんと二人になりました。おばあさんはタヌキさんの前で包丁を研ぎながら、かたりました。
「おじいさんは今日も行ってしまっただ。おじいさんの言いつけだからどうするべぇ」。タヌキさんは「もう畑を荒らしたり致しません。新参者で右も左もわからぬ様で、ひとり身も養えない有様、それでももう致しません、もういたしません」
「タヌキさん。おじいさんをはやし立てると、おじいさんをなだめるのがたいへんです。私も年ですしなかなか上手にはまいりません。だから本当のこと、それだけはやめていただければ、畑のものなど多少は目をつぶりましょう。無益な殺生などしたくないものです。さて、さて。」とおばあさんは包丁片手でタヌキさんに近づきます。「いえ決していたしません、いたしませぬ」。「決してじゃぞ」 魚籠の口に包丁がそっと触れると、パァンと割れてタヌキさんはポンと外に出てしまいました。タヌキさんは恐ろしくて恐ろしくて、しっぽがおばあさんに当ったのに気がつきませんでした。
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おじいさんが戻ると、おばあさんはたおれてタヌキさんは、見当たりません。おじいさんはおばあさんを取り戻そうと手を尽くすのですが、おばあさんは亡くなってしまいました。悲しみのあまり泣き暮らしていたところに、バニーが通りました。
「オーバーニー!オーバーニー!」
「ホワットハップン!オールドジョー!」
「オーバーニー!マイワイフ!マイワイフ!オーバーニーバーニー!」
「おじいさん、落ち着いてください。何があったのですか」。おじいさんは今までのこと、作物を荒らされ、謂われない言葉を浴びせ付けられた苦しい思いを語りました。そして計略でタヌキさんを捕まえたのだが、おばあさんを殺して逃げてしまったと、わしが悪かったばあさんには荷が重かったなどなど切々と訴えます。
バニーは「そんな悪いタヌキさんなら懲らしめてあげましょう。おばあさんの無念を晴らして差し上げましょう。」そういってバニーは消えました。
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あくる朝、バニーはたぬきさんの前にいました。「たぬきさんはここの近所に挨拶ないねえ、今日冬籠りの柴刈りがあるんだけど一緒に来る?みんなに紹介してあげてもいいんだけどさァ」
たぬきさんはキンチョウしていました。あのバニーが目の前にいるのです。「ハイ。わかりました。ぜひ参加させてください」
柴刈りでは山の仲間たちと挨拶し合いました。たぬきさんは少しぼぉっとしていました。くまさんからなかなかの力持ちだと褒められても狐さんからきみには哲学を感じるねとか言われていたようなのですが全く覚えていません。一所懸命に頑張って、気がつくとバニーと夕焼けをながめていました。
「バニー本当にありがとう。おかげで山で生きていけるかな。ありがとう。」「僕こそたぬきさんを紹介できて嬉しいよ。だってこんなに働き者だってくまさんも狐さんも褒めていたもの、僕の面目向上さ」そういってバニーが立ち上がると足元が崩れてバニーは足をくじいいてしまいました。
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