今日は気温は高くはなかったが、蒸し暑かった。肌がベトベトして気持ち悪い。それでも仕事は順調に進んだ。
かちかちやまだが、意外と短いな。とは言っても朗読なので、基本400字で1分以上かかる。そう考えれば長いのだ。パントマイムであとはやってしまえという考えなので、なにが面白いのかわかりにくいな。
珍説「かちかちやま」続き
時は来ました。でもたぬきさんは一月前から行方知れずとなっています。
待てど暮らせど約束の場所にたぬきさんは現れません。たぬきさんが現れたのは夕方になってから、上流の方から泥舟でやってきました。バニーはこの時確信しました。「勝負はあった」、長く水に浸かった泥舟なぞ、たぬきの腕でもすぐに溶けてしまうさ、そう思い巡らせた時、たぬきさんが聞いてきました。「スピード勝負だからアウトリガーはつけなかったんだ。それでバニーは泳げるの?、僕はイヌ科だから少しは泳げるよ。」。バニーは騙されません。「スタート前の心理作戦か、さすがたぬきだ、やることがセコイ」バニーはそう胸の中の黒雲を追い払います。
スタートです。バニー丸快調にスタート。おっとたぬき丸尻尾を水につけたままピクリとも動かない。どうなるのかどうなるのか。たぬき丸の尻尾が回り始めた、回り始めた。ダイナマイト・スタート!高速回転。一気にスピードアップ、波に洗われて泥舟が白い、ああっセラミックの舟だ。泥舟ではない。グングン伸びる伸びる、うさぎ丸に追いつき追いつき追い越した!あっと、うさぎ丸オールを放棄、船底からバっと帆が出ました。鮮やかな花柄つぎはぎだらけ。おばあさんの襦袢や腰巻でしょうか。かなり派手だ、とても派手だ、バニーもうろたえている。さあおばあさんの風を一気にはらんで、グングン伸びて行く。伸びて行く!大気大循環の風となったおばあさんが恨み晴らせと後押しをしている!
さあゴール、ゴールが目の前だ、あっと風向きが変わったかバニー丸帆が崩れる、このまま転倒か!たぬき丸八畳敷きで風を起こします。体制を立て直したがバニー丸、どんどんどんどん流されて行く。海にまで出た!それを追いかけるたぬき丸。必死だ必死だ、必死の形相だ。あっとたぬき丸、立ち上がった。出ました伝家の宝刀カチカチファイヤー、炎は真直ぐバニー丸帆に当たった。バニー丸大炎上、バニーフラッシュも使えない火の勢いだ。いてもたってもいられない。バニーは海に飛び込む、がサメがやってくる、やってくる。ウサギはサメの大好物。
バニー 「サメはいやだ!」
バニーが叫ぶと、ボロボロになった尻尾が目の前に落ちてきました。藁をもつかむ思いでヒシッと掴むとバニーは空へ放り出されました。気がつくと、たぬきさんの舟の上でした。
バニー 「どうして僕を助けるんだ。勝負は決まった。さあ殺せ、おばあさんのように殺せ」
たぬき 「バニー、バーニー目を覚ませ。あの丘を見ろ!」
たぬきさんの指差す丘の上に、オープンカーに乗ったおじいさんが双眼鏡を左手に、右手に若いをんなを抱きかかえていました。
バニー 「あっ」
たぬき 「僕らは騙されたんだ。」
バニー 「あそこで煮えたぎっている大鍋は」
たぬき 「狡兎死して走狗煮らるるだ!どちらが勝っても僕らは殺されるんだ。だからバニー、この地を去ろう。僕らの新天地を見つけよう。辛い旅になるけど、一緒に来てくれるか。」
バニー 「望むところだ!僕らの約束された地を目指そう!」
そうしてバニーとたぬきさんは西へ西へ、時には南だったり北だったり、遠く遠く旅立ちました。頭に鳥の羽を生やした人からビーズひと袋で島をもらい、そこでピルグリムファーザーと呼ばれ、末長く暮らしました。
今でもその島に行くと、少しエッチなバニーさんの本が売られています。そしてカチカチ山の炎を右手に抱く巨大なたぬきさんの大きな像が、そびえ立っています。
完
えっと、なんでこの話を書いたかといえば、動きがおかしな二人がいたからで、そいつらが超高速で動くことを前提にしております。ハイ。