11月29日、生命先端研となりのレクチャホールで今年3回目となるほたるの多職種研修会を行いました。今回は、うつ病をテーマに、県立鶴岡病院 精神科認定看護師の安部和明氏からの講演を聴講しました。
親しみやすい方言で、とても分かりやすく、ウイットに富んだすばらしい講演だったと思います。以下、講演内容です。
まずは、来年度開院予定の山形県立こころの医療センター(仮称)のPR
以下の病棟が設置予定
スーパー救急病棟
子ども・ストレス病棟
・こどもユニット
・ストレスユニット
社会復帰病棟
慢性期病棟
医療観察法病棟
鶴岡病院がなくなって、新しい精神科の病院ができると考えて欲しい
1、自殺について
年間:3万人、
未遂はその40倍
周りに最低5人(600万人、国民の1/20)にこころにキズ!
→ 06年に自殺対策基本法が制定された
日本人の自殺の特徴
全年齢層にみられること
自殺死亡率:庄内:30人 /人口10万あたり
全国平均:23-24人
自殺者の年次推移:平成10年に3万人を突破:要因は男性の自殺
・うつ病は一生のうち、7-13%が罹患
・うつ病、女性は男性の2.5倍
・自殺者は、男性が70%
・自殺のキーワードは孤立
→ 自殺防止の第一歩は、あいさつ と 声かけ
世界で、自殺 100万人、WHOでも重要課題
自殺前の96%は精神障害、なかでもうつ病は1位
うつ病の早期発見・早期治療が自殺予防
日本人の自殺:日本の文化が影響? 切腹文化(自殺を美化?)
2、うつ病
うつ病は、「脳の病気」 = 脳神経の伝達の乱れ
発症要因:
環境変化(新築うつ病)、
ストレス(退職、配偶者の死など)、
身体変化(お産前後、脳卒中後など)
性格は関係ない?
ポイント:誰でも起こりうる
症状:
からだの症状として発症
食欲不振 < 倦怠感 < 不眠(中途覚醒、早朝覚醒が特徴)
受診する科:内科>婦人科>脳外科 10人に1人しか精神科を受診していない
こころとからだは繋がっている
気分転換より休息が大事
酒と眠剤は併用禁
心の症状
喜び、関心の喪失 (理由もないのに悲しい、気分が晴れない)
楽しかったことが楽しくない
おしゃれをしなくなる
不安感(将来に対する不安)、
意欲の低下(やる気がでない)
集中力低下・考えることが難しくなる(今日のメニュー、思いつかない、急な物忘れ)
*うつ病と認知症の鑑別
妄想:罪業、貧困、心気的、 一方、認知症は被害的
悪いことばかり、ぐるぐる志向:悪い方向に考え、自分を責める
↑ 対応は、アドバイスはしない、傾聴が基本、無難 、薬で対応したほうがよい
最悪は、死を願う、自殺する
「あなたは死にたい気持ちはありますか」としっかり確認することが大事
気づく→気づいたら
1、相談 鶴岡市総合相談室など
2、受診してみる
かかりつけ医、総合病院、精神科クリニック
3、診断
4、治療を受ける
●自殺未遂や自殺願望を口にしたら 精神科 へ受診!
●自殺する前は、精神病病態!
治療の3本柱
1、休息と活動のバランス
2、薬物療法
3、精神療法(通院)
うつ病患者は薬物療法に抵抗感がある
50-60%再発
うつ病の方とどう接するか
1、うつ病は直線的によくならない (見守る)
2、励まさない (気晴らしと励ましは逆効果)
3、重要な決定は先延ばし
4、どのように接する
会話の内容より、誠実な態度が重要
3、こころの健康づくり
1、規則正しい生活、睡眠
2、バランスの良い食事
3、適度の運動
4、自分自身の限界を知る
5、ストレス発散
6、ものごとをプラスに考える
7、コミュニケーションを多くとる
こころのストレッチ
「前向き思考」 → 「ものは考えよう」
プラスに考え方(表現)を変えること 視点を変える (上の写真を参照)
逆の視点(反対)を意識する → 全体像がみえる
困難にポジティブに対応できる
「相談」で視点の確保
起床時間を一定に、朝の光でスイッチオン、朝食をしっかり
4、介護うつ予防
サポートする立場から
うつ状態 = エネルギー不足 と心得る
介護者の1/4はうつ病
介護者は常にうつ状態
介護負担の分散 = サポート体制の確立
出来事 → 受け止め方 → 気分、
受け止め方をかえるには →質の高い情報
認知症の理解
介護者自身のQOL
制度などのサポート体制の理解
質の高い情報とは
専門書からの情報は教科書的
同じ立場の話からの情報は、実践的
家族教室、家族会の設定が重要
アルコールの特徴
一時的に気分が楽なるが、素面になるとリバウンド 落差が問題
酒はストレス解消にはならない
ゲートキーパー
気づき、話を聞いて、必要な支援へつなげる、見守る