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「輪」の成り立ち

2016年06月28日 | ことば遊び
 取っ手のついた長い針「余」は、前回紹介のとおり、土地や道路に刺して地中の悪い霊を除く意味があった。
今回は別の用途の「余」を案内する。それは医療用、手術用の針の「余」であり、治療に使う針「余」の関連字である。

 まず「叙(じょ)。これは現代では主に「叙情」「叙述」などの意味に使われるが、もともとは治療用の針「余」に関連した漢字。
 「叙」の旧字「敍」は「余」と「攴」を合わせた字。「攴」の「ト」は木の枝の形。「又」は「手」を示す字形。「攴」は木の枝などを使って、何かを打つ字形。
 「敍」の場合は細長い針「余」を「手」で使って、体がはれて膿を持った部位に刺し、膿などを除去する手術をする意味の字。病の苦痛を除いて、ゆるやかにすることを「叙」(敍)と言う。最初に説明した「叙情」などの意味の「叙」は膿などをくみ出すように心情を外にもらすことからきている。そこから「のべる」の意味も生まれた。

 「治癒」の「癒」も「余」の関連字だが、「癒」から「疒(ヤマイダレ)」と「心」を除いた部分、つまり「愉(ゆ)」「諭(ゆ)」「輸」などの旁(つくり)から、さらに「月」を除いた字形が「余」の変形した部分である。
 この「月」は「舟(ふね)」を示す「ふなづき」で、この場合は「盤(ばん)」のこと。細長い針「余」で膿を除去し、その膿を盤に移す字形。それで病気がいえ、心が楽になるから「癒」となった。

 さて、さきほど挙げた「愉」「諭」「輸」もみな治療用の針「余」の関連字。「愉」は「余」で膿を除去して心が安らぐ意味。「諭」は「余」で病気を治すように人の誤りを言葉で諭(さと)し直す意味。「輸」は「余」で膿を除去、膿を盤に移すこと。「車」を加えて移送の意味になった。「輸出」「輸入」は移送のこと。

      

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4 コメント

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お早うございます (延岡の山歩人K)
2016-06-28 06:08:36
漢字の成り立ち
難しいですね
解説を伺って初めて知る事ばかりです
今回もまた 勉強になりましたが
すぐに忘れそうです(^^)/

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(延岡の山歩人K) さん へ (iina)
2016-06-28 08:13:59
総集編ミヤマキリシマは、いずれのショットもよく撮られています。
冒頭の小屋からのアングルも好いです。^^

>すぐに忘れそうです(^^)/
『「輪」の成り立ち』 は、説明に「わ」かりやすそうで そうでもなく、結局 すぐに忘れてしまいます。(^_^;) そんなものです。


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ありがとうございます (のしてんてん)
2016-07-16 08:41:19
漢字というのは、どことなく自分の生まれる前から知っていたような気になるものですが、

あらためてこのような成り立ちを教えていただくと、まるでふるさとを見せてもらっているような感覚になります。

ありがとうございました。
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(のしてんてん) さん へ (iina)
2016-07-16 09:13:15
漢字の成り立ちは、象形文字にヒントを得られますが、 (のしてんてん)さんの五次元思考は、難しすぎて理解できません。

フォトチャンネルの「のしてんてん絵画」も閲覧しましたが、こちらは明日のiinaブログ「鏡に違う形」に、すこし通じるかもしれません。
そのココロは、見えた四角形はしわくちゃかも知れず、あるいは丸いかもわかりません。


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