「ラッパ吹きダルマのぴいぴい」と「飯食いダルマのぴいぴい」の目入れをしています。
今戸にはダルマの姿をした人形がいくつかありますが、ことにぴいぴい仕立てになっているものに関しては全体像がいまだ把握できず、今のところ画像の2種類を再現しています。「飯食い」のほうがナンセンスさが強い印象を受けますが「ラッパ吹き」のほうは今戸のぴいぴいの造形としてひとつの確たる理屈と言う感じのパターンを貫いたもののひとつなのだと考えています。
というのはぴいぴいは鞴(ふいご)で音色を奏でるおもちゃですから鞴の上に乗る人形の姿は雀や都鳥だったり鶏など鳴いている鳥であることが自然だったのではないでしょうか。
次に犬や猫、うさぎ、蝦蟇などの動物たちも鳴き声として音色とつじつまが合う…と昔の製作者たちは考えたのではないでしょうか。お猿さんが放屁するのも、同じ理屈です。
そのあと人の姿の人形のバリエーションがぴいぴい化していく上で、音色に合わせてポーズさせる必要があったのが、なにか楽器を奏でていることだったのではないか、と思われます。ラッパを吹くダルマも、この理屈に合うもので、他にも笛を吹く牛若丸とか、笛を吹く西洋夫人などを確認しています。
そのあと音色と人形の姿との理屈よりも見た目の面白さ、楽しさ重視になって音色とのつじつまにこだわらなくなっていったのではないかと思うのです。
作業しながら日頃考えていたことを思い出して記してみました。