中村です。
「仲間意識の醸成」
このフレーズ、研修では比較的よく用いる。
仲間=「お友だち」「仲良し」というイメージがあり、仲間意識=仲良く、和気あいあい
と捉えがちだが、ビジネスの世界では少し意味あいが違う。
もちろん仲間なので助け合ったり協力したりはするが、それだけではない。
「お互いの存在がお互いの刺激になる関係」「いいことはいいと認め合うが、ダメなと
ころはダメと指摘しあえる緊張感のある関係」であり、相互啓発していこうとする意識
が「真の仲間意識」。
ある会社のリーダー層の研修でのこと。
ねらいはリーダーの役割認識とリーダー同士の仲間意識の醸成
研修は毎月一回×6ヶ月のシーリーズ。最後は全員で社長へのプレゼンテーションを
予定していた。
企業風土を単語にすると「個人主義」
「自分は自分」「人は人」という意識が強く、人のことにも関心が薄いが、自分の土俵
に踏み込まれるのも好まない集団。そもそも研修自体が、企業風土をかえるという
課題解決の一環として企画された。
初回のオリエンテーションでは、上記ねらいの他、「敵ではなく同じ会社で同じ立場に
いる仲間として相互啓発することの必要性」や「いいことはいい。ダメなところはダメと
指摘しあってリーダー層全体の底上げをはかることの重要性」について話した。
実際には、上記↑を大人しく伝えた・・・と言うより、
心の中で「こいつのこういうところがあかんねん」「こいつのあかんとこはここや!」
と思っているのに言わずに適当に話をあわせる。あるいは、このままいったら失敗
するのに・・・と思いながら、その時は何も言わずにやり過ごし、失敗してから「あん
なやり方してたら失敗すると思ってたんだよね」と言うのは
おかしない???
冷たいと思わへん???
自分がされてうれしい???
と熱く語ったのだが今一つ反応がよくない。
「言ってはるのはわかりますけど必要あります???」
「そんなに熱くなることですか?」
「・・・。」
と顔に書いてある。もちろん全員がそうではない。が、発言力が大きいメンバーが半信
半疑なのでなんとなく場が盛り上がらない。
その後のお互いの「強み・弱み」を指摘し合うセッションも、表面的な無難な表現で、「と
りあえず指摘はしました感」がありありと感じられる。
正直あせった
一日で完結する研修でなくてよかった・・・。と安堵したと同時に、シリーズだからこそ
初回が肝心!初回である程度のところまでもっていけなければ挽回ができないことは
経験上いやほどわかっている。
で、結末は?
完璧とまではいかないにしても、少なくとも真の仲間意識らしきもの
が醸成された
要因はいくつか考えられる。「最年少のメンバーのけなげな取り組み」「最年長のメン
バーの自己開発への取り組み姿勢」「全体への影響力が最も強いメンバーのリーダ
ーシップ」などなど・・・・
が「何が」そうさせたのか?と聞かれたら、「この発言」「この人」「この出来事」
などコレやと言われるものはない。
ただこうは思う。
お互いを認め合いダメなところを指摘しあったから仲間
になった⇒仲間意識醸成
ではなく、
仲間だから(=仲間意識が醸成された)⇒自然に指摘
しあえる
考えてみれば、いいことはいい。あかんことはあかん。と指摘し合いましょう!と言っても
実際にはあかんことをあかんと指摘するのは難しい。
研修でも、「同じ職場同士なのにそんなこと言い合ったら気まずいですやん」と言われる
こともある。
なぜなら『それ』をすることで相手を不愉快な気持ちにさせ、相手に嫌われるかも
しれないから。
そんなこと指摘せずに「なぁなぁ」で済むのならあえて嫌われることを誰もしようとは思
わない。
あえて『それ』をするのは、メンバー間に共通の目標があり、「このメンバーでその目
標を達成したい」「いい仕事をしたい」と願うから。
そう思う気持ち=仲間意識
そこには、「指摘しなければならない」という義務感や「とりあえず言いましたよ」という
こなし感はない。
このメンバーといい仕事をしたい、一緒にいたいと思ったら、言わざるを得ない。いや
自然に言いたくなる。しかも言われる方も自分やメンバー共通の目標達成のために指摘
されていることをわかっているからそれを素直に聞ける・・・。好循環だ。
今回の研修でもそうだ。
「話がずれている」
「話しはうまいけど心に響かない」
「人からモノを言わせない雰囲気を醸し出している」
「この場面で、そのアイデアをいれるのはリスクが大きすぎて賛成できない」
などなど、よく聞いていると結構きついことを言い合っている。
でも言う方が自然なら言われる方も気分を害している様子はない。
こういう関係を目指したい。
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