チェロ弾きの哲学ノート

徒然に日々想い浮かんだ断片を書きます。

植物の葉緑体に於ける糖合成

2012-07-06 16:16:51 | 哲学

10. 植物の葉緑体に於ける糖合成

 クロロフィル(chlorophyll)は、光合成で光エネルギーを吸収する役割を持つ化学物質で葉緑素と呼ばれる。クロロフィルf(植物)は、C55H70O6N4Mgの分子式を持つ。クロロフィルfは、4つのピロール環(C4個とN1個の環)を炭素原子1個ずつ挟んで結合した環内部にMg2+をキレートした錯体である。(クロロフィルの分子構造を参照ください)

 葉に含まれている葉緑素が光エネルギーを吸収し、電子の流れを作りATPを合成し(循環的光リン酸化)、NADP+(ニコチンヌクレチドリン酸)を還元して、助酵素、NADPHを作ります。(水の光分解) この時、分解される水は根から吸い上げ、水素(H)を使って、空気中に酸素を放出する。(明反応)

 次に空気中から吸収されたCO2はカルボキシムスターゼという酵素の働きによって、リングセリン酸が作られ、ATPからリン酸を受け取り、NADPHから水素を受け取って、三炭糖-3-リン酸となり、リン酸を分離して六炭糖(C6(H2O)6 =ブドウ糖)となり、デンプンを合成します。(暗反応)

 葉緑体によって、ほぼすべての動物と植物は、このエネルギーにより、生体の活動を行い、エントロピーに逆走することを可能にしている。

 花の雄しべの花粉がミツバチによって飛翔し、雌しべの花柱に達し、花粉から花粉管を発芽し受粉し、実を結ぶ。種子は、ある条件を満たした時、発芽し葉を茂らせ太陽光と水と炭酸ガスから花を咲かせて、実をならせる。

 これは、通常のことのように感じるが、糖化合物とタンパク質と酵素による非常に多様な化学反応によって、エントロピーに逆走し、花を咲かせ、実を結ぶことは、本来、不思議なことである。この光合成を工業的に可能になれば、革命的であるがその可能性は当分見えないだろう。(第13回)