チェロ弾きの哲学ノート

徒然に日々想い浮かんだ断片を書きます。

火、鉄、蒸気機関、内燃機関、タービン、電気(その1)

2012-07-28 16:06:07 | 哲学

16. 人間が創ったもの
 16.3 火、鉄、蒸気機関、内燃機関、タービン、電気
 
 ここでは、熱エネルギーから運動エネルギーへ更には電気エネルギーへと話を展開する。

 しかし、核エネルギー、核融合は対象外とする。それは制御することが出来てないからである。重水素を原爆の温度と圧力で、核融合は出来るが、それを制御することは出来ない。核エネルギーも廃炉、使用済みウランの制御が出来てないからである。

 いよいよ、蒸気機関、ガソリンエンジン、タービン、電気などの、人や家畜の筋力以外のエントロピーに逆走するエンジンについて述べるつもりであったが、その前に、火、鉄について検討しなくては、その意味が明確にならない。

 人類は、チンパンジーと分かれ、二本足歩行を獲得し、80万年前頃火の使用を手に入れ、その後言葉を獲得したと考えられる。
火は、食物を焼いて食べ、強い動物から家族を守り、暖を取り、焼畑を行い、食物を蒸し焼きして、人類は火を制御することを手に入れた。

 人類は、鉄器を手に入れる前に、青銅器を手に入れた。紀元前3500年頃の初期メソポタミア文明で、木炭と銅と錫によって、青銅を手に入れた。青銅の融点は900°Cと鉄の1600°Cに比べて低く、形を制御でき武器や農具としての可能性はあったが、銅と錫は貴重な資源であったので、権力者の象徴的使用に留まった。

 メソポタミアのヒッタイト人は、紀元前1200年頃、青銅の技術から、さらに融点の高い鉄の製鉄法を手に入れた。このためには、火力の高い針葉樹の大量の木炭、酸素(乾いた空気)を送るためのフイゴ(最初は谷の乾いた風)、1600°Cの高温に耐える耐火煉瓦の炉(岩を利用した)の3つによって、製鉄法を手に入れた。(更に鍛造によって、炭素を抜き、成形する必要がある)

 この条件を満たし、製鉄法を発見したのは、ヒッタイト文明だけであり、この技術がここから地球上に伝播した。鉄は、高度の技術と大量の森林資源を必要とするが、鉄は地球上でありふれた資源であったため、武器としての刀はもちろんのこと、農具として麦の穂を刈るためのカマ、耕すためのクワや鋤き、木を切るためのノコやオノとして使用され、農地を拡大し、農業生産を飛躍的に増大させ、最初の産業革命を成し遂げた。
(第27回)