チェロ弾きの哲学ノート

徒然に日々想い浮かんだ断片を書きます。

都市、貨幣、帝国主義、資本主義(その8)

2012-08-26 13:35:07 | 哲学

16.4 都市、貨幣、帝国主義、資本主義(その8)

 アメリカ資本主義に於いて頭角を現した、多国籍企業について、考察する。
私の多国籍企業の定義について

 (1) 地球上の特定分野の資源(農地、栽培作物を含む)を占有し、加工、販売の優位性を確保する企業

 (2) 特定の分野で高度な技術と多くの資本を必要とするため、新規参入が困難であり、優位性を確保する企業

 (3) 多くの資金と高収益企業群を所有しているため、優位性を確保する企業

 (4) ある分野について、崇高な権威を保有しているため、その分野での独占的立場を有する組織

 最後の(4)の定義は、多国籍企業の定義では、必ずしもないが、例えば、大英帝国時代のイギリス王室、バチカン市国、IOC国際オリンピック委員会、FIFA(国際サッカー連盟)、IMF(世界銀行)など、大きな影響力を持つ。

 次にいくつかの例によって、上記の定義を検証してゆく。

 1)ダイタモンドのシンジケート
世界のダイヤモンドは、南アフリカ、オーストラリア、ソ連などの限られた所に資源が存在するため、ダイヤモンド鉱山、加工技術、販売権を占有するため、優位な企業。(人工ダイヤモンドは、現在も工業用のみ生産可能)

 2)石油メジャー
石油資源は、豊富な国とほとんど産出しない国に分かれ、石油の鉱区は、砂漠、海上、極寒の地下数千mに存在するため、採掘、運搬、精製、販売に、高度の技術と資本を必要とするため、数社の石油メジャーによって、占有されている。
また、サウジアラビアの王室、ガスプロム(ロシア)は、石油鉱区の所有と開発によってその優位性を確保する。

 3) 種子メジャー
 種子メジャーは、主要農産物の種子を販売する。トウモロコシの種子は、現在最も優良な種子は、形質のまったく異なる2つの品種を賭け合わせた1代雑種である。単に2つの種子を交互に植えても、一代雑種の種子は、僅かな歩留まりでしか出来ず、それも実際に植えてはじめて、わかる。

 そのため、一代雑種の種子の母方の種子は、雄性不稔(ミトコンドリア遺伝子の異常)の形質を遺伝子組換えによって、創る。そして父方の種子と畝別に育てる。これにより、父方の雄しべの花粉が、母方の雌しべに到達し、一代雑種の種子ができる。ここで一番大切な資源は、父方、母方の原種の確保をすることであり、通常のトウモロコシ農家では、種子は買うという選択肢しか存在しない。


 4) 医薬品企業
 医薬品は、医療技術、有機合成化学、厚生行政の許認可、企業の研究機関、大学、政府の研究機関が、多額の研究費と人材、臨床試験を経て、新薬が実用化され、世界の製薬会社が激しい開発競争を戦ている。ここで医薬品メジャーは、より優れたデータと過去の経験、許認可の人脈などを有する。

 5) コンピュータネットワーク企業
 コンピュータのマイクロプロセッサーは、集積回路の中に高度な技術とO/Sとのプロトコル有し、インテルのほぼ独走であり、O/Sはマイクロソフト、ルータはシスコ、検索ネットワークはグーグル、端末はアップル、使用言語は英語帝国主義であり、すべてアメリカ企業であり、さらには、コンピュータは、デル、IBM,プリンターはヒューレットパッカードと、この分野では、アメリカ帝国主義の様相を呈している。

 5) ジェット戦闘機
 この分野は、ジェット機の戦闘機能が優位なもので、より多くの受注台数を確保したものが、優位に立つ、第2次世界大戦で優位にたった米国とソ連は、ミサイル、ジェット戦闘機、原子爆弾でそれぞれ優位を争った。現在は、ロッキド・マーティン社が1歩リードしている。

 金融は、ロスチャイルドの家、ロックフェラー家は、IMFとの関連など、多くの高収益企業でその影響力で持つ。さらには、穀物メジャー、農薬メジャー、アグリビジネス多国籍企業、ロシア、中国の企業も多国籍企業として、頭角を現している。(第39回)